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中東での連戦を終えて香港に戻ってきたロマンチックウォリアーだが、帰国後の検査で判明した左前脚球節の故障を受け、水曜日に左前脚にスクリュー(ねじ)を埋め込む手術が行われた。

ダニー・シャム調教師と馬主のピーター・ラウ氏は手術を選択した背景には、帰国直後に香港ジョッキークラブ(HKJC)が行った精密検査があった。検査の結果、「関節の一部に故障の兆候がある」と診断され、手術が検討されていた。

HKJCは声明の中で、「今回の手術は、当クラブが競走馬の福祉を確保するための体系的手順に従い実施する積極的な健康診断の一環として、2025年5月16日に行った前肢のCT検査およびMRI検査に続いて実施されたものです。診断検査前には跛行やその他の臨床症状は認められませんでした」と報告。

手術を行わない保存療法も検討されていたが、実戦復帰を早める可能性があるとされる、負傷した球節部を固定する手術を陣営は選択。異例の手術というわけではなく、一般的な治療法として確立されている施術だという。

なお、ロマンチックウォリアーの復帰時期は現時点では発表されていない。

「専門の獣医師とロマンチックウォリアーの馬主および調教師が、治療および管理方法について協議を重ねた結果、クラブの馬専門診療所において立位鎮静と局所麻酔下で一本のスクリューを挿入する外科手術を行うことが決定されました」とHKJCは説明。

そのうえで「処置は合併症もなく無事に終了しました」と経過を報告した。

ロマンチックウォリアーはこれまで2億1470万香港ドル(39億円)を超える賞金を獲得しており、その賞金額は世界歴代1位。今年は中東滞在の長期遠征を決行し、G1・サウジカップやG1・ドバイターフでは勝ち馬と僅差の2着に健闘した。

先日帰国した同馬は、5月25日にシャティン競馬場で『おかえりなさい、世界チャンピオン』と称した凱旋帰国イベントを行う予定だったが、開催目前にして先述の故障が判明。競馬ファンの前でのお披露目は中止となった。

調教履歴上もロマンチックウォリアーは5月17日を最後にコース上での調教は行っておらず、プール調教のみとなっていた。また、獣医記録によれば、左前脚の球節故障は5月21日付けで記録されている。

HKJCは術後のロマンチックウォリアーについて、「手術後は厩舎へと戻り、獣医師と厩舎スタッフが綿密に経過を観察するとともに、クラブが整備した世界水準のリハビリ支援を受けることになる」と述べた。

水曜日の夜、ハッピーバレー競馬場にて報道陣からロマンチックウォリアーの怪我について問われたダニー・シャム調教師だが、慎重な姿勢を崩さず多くは明かさなかった。しかし、5月19日にIdol Horseの取材を受けた当時は、次の遠征については「慎重に」検討していくつもりだと語っていた。

「またサウジに遠征する可能性もありますし、今シーズンのようにそこからドバイに転戦する可能性もあります。来年は8歳になりますし、レースごとに様子を見て慎重に見極めていくつもりです」

マイケル・コックス、Idol Horseの編集長。オーストラリアのニューカッスルやハンターバレー地域でハーネスレース(繋駕速歩競走)に携わる一家に生まれ、競馬記者として19年以上の活動経験を持っている。香港競馬の取材に定評があり、これまで寄稿したメディアにはサウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ジ・エイジ、ヘラルド・サン、AAP通信、アジアン・レーシング・レポート、イラワラ・マーキュリーなどが含まれる。

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アンドリュー・ホーキンス、Idol Horseの副編集長。世界の競馬に対して深い情熱を持っており、5年間拠点としていた香港を含め、世界中各地で取材を行っている。これまで寄稿したメディアには、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ANZブラッドストックニュース、スカイ・レーシング・オーストラリア、ワールド・ホース・レーシングが含まれ、香港ジョッキークラブやヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)とも協力して仕事を行ってきた。また、競馬以外の分野では、ナイン・ネットワークでオリンピック・パラリンピックのリサーチャーも務めた。

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