機会が訪れたタイミングは予想外だったかもしれないが、トム・マーカンド騎手とホリー・ドイル騎手の夫妻は今週末、香港で騎乗できるチャンスを大いに心待ちにしている。夫婦騎手でもある2人は今、世界中の競馬界を全力で駆け巡っている。
マーカンドとドイルの2人は日曜日はシャティン競馬場で、来週の水曜日はハッピーバレー競馬場で騎乗する。先週の日曜日には落馬事故が複数発生し、4人の騎手が搬送。香港ジョッキークラブは突然の騎手不足に対処すべくSOSを送り、急遽参戦が実現した。
マーカンドは土壇場の参戦の裏に喜べない背景があることを認めつつも、日本での短期免許で21勝を挙げた後のアジア再訪を楽しみにしていると話した。
「このような落馬事故が起こってしまったことは残念です。一番大事なのは騎手の皆が無事なことです。皆さんが命に別状はなくて、ヴィンセント・ホー騎手もICU(集中治療室)から退院できたという朗報を聞けて嬉しいです」と、Idol Horseの取材に対してマーカンドは語る。
「ここに来られて良かったです。ここ数年、私とホリーは香港で何度も騎乗機会に恵まれてきましたし、その機会をいつも楽しませてもらっています。香港は世界的な舞台なので、ここで乗れるのは本当に重要な挑戦だなと感じています」
昨年、イギリスの騎手リーディングで3位にランクインしたマーカンドは、近年のシャティンやハッピーバレーではお馴染みの存在となっている。騎手招待競走のインターナショナルジョッキーズチャンピオンシップ(ICJ)ではドイルと共に常連となっており、ウィリアム・ハガス厩舎のドバイオナーとコンビを組んでの遠征は4回を数える。

26歳を迎えた同騎手だが、土曜日の夜はカタールで騎乗し、日曜日の朝に香港に到着、第一レースの開幕後にシャティン競馬場に着くという強行軍でレースデイを迎える。
「私とホリーに届いた騎乗依頼が、無事に実現できてとても嬉しく思います。自分はカタールから、ホリーはイギリスから飛行機で向かいます。そして、次の金曜日になると私はバーレーンで騎乗し、ホリーはサウジアラビアに渡ります」
マーカンドとドイルが香港に滞在する時間はそう長くはないが、年明けからバーレーン、インド、カタールと巡ってきた忙しい世界ツアーに新たな土地の名前を加えることになる。
全11レースが行われる日曜日のシャティン開催、現地の報道によるとマーカンドはキャスパー・ファウンズ厩舎のカルマ(クラス2・1600m戦に出走)を含め、7つのレースで騎乗依頼を受けているという。一方、ドイルは元エイダン・オブライエン厩舎のロマンチックソーなど、9頭に騎乗する予定だ。