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夏の休暇を数週間削る形となったが、早めに香港へ戻った選択が功を奏した。香港のジェリー・チョウ騎手は、来月の韓国遠征で重賞2鞍の騎乗機会という大きなチャンスを掴むこととなった。

チョウは9月、ソウル競馬場のダートに初挑戦する。G3・コリアカップ(1800m)にはフランシス・ルイ厩舎のチェンチェングローリーで、マンフレッド・マン厩舎のセルフインプルーブメントではG3・コリアスプリント(1200m)に挑む予定だ。

もっとも、このチャンスは直近の成績によるものではない。昨季の成績は23勝でリーディング15位にとどまった。それでも彼が掴んだのは、同僚たちよりも早く香港へ戻り、新シーズンに備えるという強い意志があったからだ。

「短い休養を取り、8月1日に戻ってきたときには万全の状態で騎乗を再開できるようにしました」とチョウはIdol Horseに語った。

「馬が韓国へ行くと聞いたとき、すぐにルイ調教師とマン調教師に連絡を入れました。どうしても韓国で乗るチャンスが欲しかったんです」

「8月の初めに戻っていたことで、競馬開催のオフ期間中から韓国でのレースに向かうまでずっと馬の調教に携わることができました。幸運なことに、チャンスを与えてもらえることになったのです」

チョウは9月7日、香港新シーズンの開幕日にはシャティン競馬場で騎乗する代わりに韓国へ向かう。レーティング113のチェンチェングローリーには過去一度も騎乗したことがなく、セルフインプルーブメントも29戦中わずか2度騎乗したのみだ。

「正直なところ、オーナーと調教師のお二方には心から感謝しています。こうしたサポートとチャンスをいただけることは本当にありがたいです」とチョウは続ける。「世界のさまざまな場所で騎乗経験を積みたいと思っているので、韓国での騎乗は大きな経験になります」

チェンチェングローリーは今年1月、シャティンでのセンテナリーヴァーズを制して重賞初制覇を果たし、翌2月のG1・香港ゴールドカップ(2000m)ではヴォイッジバブルの3着と健闘している。

Chancheng Glory wins G3 Centenary Vase at Sha Tin
CHANCHENG GLORY, HUGH BOWMAN / G3 Centenary Vase // Sha Tin /// 2024 //// Photo by HKJC

シャティンのダートでは実戦経験はないものの、チョウはバリアトライアルでの経験とアメリカ血統を頼りに、ソウルの深い砂に挑むコリアカップへ自信を見せている。チェンチェングローリーの父、モアスピリットは米国でダートのG1を2勝した実績を持つ。

「シャティンのオールウェザーコースでは良い動きを見せていますし、アメリカ産馬でもあるので、砂をこなせると思っています。大きなストライドでスムーズ、扱いやすい馬です。走法が気に入っていますし、調教ではとても落ち着いています」

「実際に対応できるかは現地に入ってみないと分かりませんが、レース前に韓国で追い切りに乗って確かめるつもりです」

チェンチェングローリーの適性には未知数が残るものの、セルフインプルーブメントについては砂対応に自信を見せている。この6歳馬の4勝はいずれもシャティンのオールウェザーコースで挙げたものだ。

「状態はとてもいいですよ」とチョウはセルフインプルーブメントについて語る。

「だいぶ前に数戦騎乗したことがありますが、とても落ち着きがあって完成度の高い馬です。とてもプロフェッショナルで、調教でも自分のやるべきことを理解しています」

「生まれつきのスピードがあるので、スムーズにゲートを出て前へ行ければと思っています」

チョウは両馬に、今週金曜朝のシャティンで行われるバリアトライアルで跨る予定となっており、その後、2頭は来週末に韓国へと旅立つ。

「私は9月3日に現地入りして、その翌日に両馬を追い切ります。馬たちは8月29日か30日に韓国へ向かう予定です」

ジャック・ダウリング、Idol Horseの競馬ジャーナリスト。2012年、グッドウッド競馬場で行われたサセックスステークスでフランケルが圧勝する姿を見て以来、競馬に情熱を注いできた。イギリス、アメリカ、フランスの競馬を取材した後、2023年に香港へ移る。サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、レーシング・ポスト、PA Mediaなどでの執筆経験がある。

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