2025 秋華賞
マイケル・コックス記者
- 開催日 10月19日(日曜日)
- 競馬場 京都競馬場(右回り)
- 所在地 京都府
- ローカルグレード G1
- 国際グレード G1
- 出走条件 3歳牝馬
- 馬場 芝
- 距離 2000m
- 総賞金(日本円) 2億3970万0000円
- 総賞金(米ドル) 159万8000米ドル
- 初開催 1996 (ファビラスラフイン)
秋華賞の歴史
1996年のJRA番組改定により、エリザベス女王杯は牝馬三冠の最終戦の座を外れ、年齢がオープンとなる競走へと移行した。その代わりに秋華賞が誕生し、3歳牝馬限定・2000mの競走となった。
その改定以前の牝馬三冠馬はメジロラモーヌただ1頭だったが、1996年以降はアーモンドアイやジェンティルドンナといった名牝を含む6頭が、G1・桜花賞、G1・優駿牝馬(オークス)、G1・秋華賞の三冠を制している。
直近で三冠を達成したのは、才能にあふれながらも不運に見舞われ、惜しまれながらこの世を去ったリバティアイランドだ。
今年は二冠牝馬はいない。その代わりに、このレースは桜花賞とオークスの勝ち馬であるエンブロイダリーとカムニャックが顔を合わせ、世代の頂点を懸けて激突する舞台となる。
秋華賞のデータ
春の牝馬クラシックを戦ってきた牝馬たちはいずれも侮れないが、1600mの桜花賞に対し、2400mのオークスにわずかながら分がある。
三冠牝馬6頭を含めると、9頭のオークス馬が秋華賞を制しており、これは桜花賞馬の8頭を上回る。一方で、オークスで敗れた牝馬が秋華賞を制した例は11頭で、桜花賞で敗れた牝馬の8頭より多い。
桜花賞で敗れたオークス馬が秋華賞を制した例は、テイエムオーシャン、ファレノプシスの2頭が存在するが、直近のケースでも2001年だ。さらに、オークスで敗れた他の桜花賞馬10頭も秋華賞制覇を狙って出走したが、いずれも敗北に終わっている。
それでも、春の牝馬クラシックを経由して臨む牝馬が強力なのは間違いない。
また、主な前哨戦であるG2・ローズSとG2・紫苑Sの役割にも触れておきたい。ローズSは秋華賞馬を10頭送り出しており、そのうち4頭は前哨戦を勝って本番も制している。
ただし、ローズSと秋華賞のダブル制覇を達成した最後の馬は2007年のダイワスカーレットだ。前哨戦で敗れて本番を制した最新の例は、2015年オークス馬のミッキークイーン。前哨戦は2着だった。
一方、紫苑Sは近年好成績が目立つ。2022年のスタニングローズは、2017年のディアドラは紫苑Sとの連勝を果たしている。なお、2016年のヴィブロスと2014年のショウナンパンドラは、いずれも紫苑Sで2着から秋華賞を制している。
マイケル・コックス記者
視点: 休み明け、地力上位
歴史は、桜花賞馬がオークスで不本意な結果に終わった後でも、秋華賞で巻き返せることを示している。
春先のエンブロイダリーがいかに強かったか、これは軽視されがちだ。桜花賞は品格と操縦性の良さに満ちていたし、オークスの2400mを走り切れなかったとはいえ、データは京都の2000mに向かうにあたってそれが致命傷ではないことを示唆している。
実際、8頭の桜花賞馬が秋華賞を制しており、そのうち3頭はオークスで敗れた後に勝っている。まさにエンブロイダリーが辿っている道筋だ。
また、前走で5着以内だった馬、あるいはオークスから直行してくる牝馬に分があるという歴史もある。直近10年では、オークス出走組が秋華賞の勝ち馬を6頭送り出しており、どのパターンよりも高い “登竜門” となっている。そして、その多くは秋華賞を上位人気で勝っている。
休み明けの間隔も問題ないだろう。このレースは使い詰めの馬よりも、直行組が相性の良いレースだ。2015年以降、京都開催の秋華賞はすべて単勝オッズ7.0倍未満の馬が勝っている。エンブロイダリーはこの条件に完璧に当てはまる。
負担が掛かりやすい蹄から回復する時間を確保でき、栗東では順調に調教を積んでいる。そして、秋華賞3勝のクリストフ・ルメールと再コンビを組むのも心強い。
推奨馬: 11番・エンブロイダリー、17番・カムニャック、13番・セナスタイル、3番・ジョスラン
デイヴィッド・モーガン記者
視点: オークス馬は強し
突飛な見解はない。話はいたってシンプルだ。これまで見せてきた走りに基づけば、カムニャックは日本の3歳世代牝馬で最強格だ。
カムニャックは素晴らしい牝馬へと開花しており、前走のローズSの勝ち方から判断すれば、牡馬相手でも見劣りしないだろう。夏の放牧を経て一段と強くなって戻ってきたことを示した一戦だった。
1800mのローズSでの勝利は、オークスを制したブラックタイドを父に持つ同馬が「長距離向きなのではないか」という不安を振り払った。直線入口での接触を克服し、ストライドを伸ばして距離短縮の一戦でも鋭くゴールへ駆けた走りは、秋華賞での2000mが問題にならないことを示している。
前述のとおり、優駿牝馬の勝ち馬は秋華賞で強い傾向にあり、カムニャックはそのトレンドに違わず応えてくれるはずだ。

とはいえ、一本被りの圧倒的な1番人気になりそうなカムニャックの周辺には妙味もありそうだ。
ローズSでその直後の位置取りから目を引いたのが、オークス馬で秋華賞2着のヌーヴォレコルトを母に持つ良血牝馬、セナスタイルだ。
ローズSでは道中はかなり後方。直線では岩田康誠騎手が左右へと進路を切り替えられながら、スペースが開くと一気に伸びて3着に食い込んだ。見事な走りだった。弱点は経験値、まだキャリア3戦という浅さだが、良化あるのみだろう。今回も再び複勝圏内にしっかり入ってくると見たい。
推奨馬: 17番・カムニャック、13番・セナスタイル、11番・エンブロイダリー、3番・ジョスラン
タカハシ・マサノブ記者
Angle: 「遅咲き」の早熟馬
昨年の6月、JRAの2歳戦開幕週に組まれた新馬戦を制し、「世代の一番星」となったのがダノンフェアレディだった。残念ながら骨折に見舞われ、復帰した春のリステッド2戦は期待外れな結果に終わったが、夏競馬では不調から一変。輝きを取り戻したかのような走りを見せた。
デビュー時の馬体重は438キロだったが、この一年の間に馬体は大きく成長し、馬体重は40キロ近くも増加した。春のクラシックを諦めた牝馬が、夏の間に成長し、秋の秋華賞を制覇する……2016年の秋華賞馬、ヴィブロスを彷彿とさせるストーリーを期待したい。

もっとも、そのヴィブロスが制した2016年を最後に、秋華賞は8年連続でオークス4着以内の馬が勝っている。「春クラシックの実績馬が有利」という傾向は間違いなく、その点、カムニャックが手強いライバルであることは認めざるを得ない。
それでも、もし人気馬が隙を見せることがあれば、ダノンフェアレディはそれを見逃さないだろう。
推奨馬: 1番・ダノンフェアレディ、17番・カムニャック、3番・ジョスラン、18番・パラディレーヌ
推奨馬
Idol Horseの記者陣 | 推奨馬 |
マイケル・コックス | 11-17-13-3 |
デイヴィッド・モーガン | 17-11-13-3 |
タカハシ・マサノブ | 1-17-3-18 |