2024 天皇賞・春: G1レビュー
競馬場:京都競馬場
距離:芝3200m
賞金総額:4億752万円(約337万米ドル)
テーオーロイヤルが粘り強い走りで1着を勝ち取り、鞍上の菱田裕二騎手、岡田稲男調教師、そして自分自身にとっても初のG1勝利をプレゼントした。
6歳のテーオーロイヤルはダートの王者メイショウハリオの半弟であり、以前からG1を勝てる有望株とみなされていた。2022年の天皇賞・春ではタイトルホルダーを相手に3着に入ったが、脚の骨折で2022年11月から1年間の休養を余儀なくされ、一時的に足踏み状態となっていた。
怪我からの復帰後はよりパワーアップして復活し、ここまで5戦3勝。3連勝で天皇賞・春を勝利することになった。
テーオーロイヤルは2.8倍の1番人気に支持されていたが、昨年の菊花賞馬ドゥレッツァも同様に2.8倍のオッズが付けられていた。ドゥレッツァは前哨戦としてG2・金鯱賞を使っており、その時はプログノーシスに次ぐ2着という好走を見せていた。17頭立ての出走馬の中には、昨年のダービー馬タスティエーラも含まれていた。タスティエーラは菊花賞でドゥレッツァ相手の2着、前走のG1・大阪杯での大敗から巻き返そうと意気込んでいた。そして、ここまで3年連続でこのレース2着に入っているディープボンドも、当然出走していた。
レースはマテンロウレオがペースを引っ張り、2周目の向こう正面を迎える頃には、2番手のディープボンドと4馬身近いリードを保っていた。ドゥレッツァは3番手、テーオーロイヤルは楽な手応えで4番手に付けていた。しかし、サヴォーナが捲り気味に進出を開始した途端、交わされたドゥレッツァは一気に手応えが悪くなる。
マテンロウレオは早々とスタミナ切れを起こして後退し、ディープボンドが先頭に立つ。しかし、テーオーロイヤルは外側から力強く伸び続け、ベテランを交わし去った。ブローザホーンが猛烈な追い上げを見せるも寄せ付けず、2馬身差の快勝でレースは幕を閉じた。ディープボンドは例年より着順を一つ落とすも、3着に粘った。
2024 天皇賞・春: レース映像
勝利コメント
菱田裕二騎手「とてもリズムが良かったですし、下り坂の手応えもとても良かったので、気持ちよく第4コーナーを回ってくることができました。20年前のこの日(天皇賞・春)に競馬場に来て騎手になりたいという夢を持ったので、本当にその時の自分にありがとうと言いたいです」

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日本では2マイル(3200m)の長距離戦は限られているため、テーオーロイヤルが続戦する場合、必然的に6月に行われる2200mのG1・宝塚記念が目標となってくるだろう。ステイヤーとなると秋の敵鞍も限られており、2400mのジャパンカップや2500mの有馬記念が適距離の大舞台となる。
陣営がレース後、11月のメルボルンカップへの遠征を示唆したことは興味深い。オーストラリア遠征はハードな検疫と厳しい獣医検査、そして重いハンデという困難を乗り越える必要があるが、第三の選択肢であるヨーロッパ遠征と比べたら、魅力的な選択肢なのかもしれない。
期待外れの結果
ドゥラメンテ産駒のドゥレッツァはこのレースに向けて準備万端に見えたが、中盤でプレッシャーがかかると対抗できず、スタミナ不足が原因とは思えない下がり方で15着に敗れた。何か、異常があったのかもしれないと思える負け方だった。(追記:後に骨折が判明)
タスティエーラのジョアン・モレイラ騎手は理想的な騎乗を見せ、中団から良いリズムで進出開始、好位置で直線に入ることができた。しかし、昨年のダービー馬が力強い伸びを見せることはなく、7着に終わった。2マイル(3200m)の距離が長過ぎる可能性はあるが、大阪杯に続くこの惨敗は、昨年の牡馬クラシック組の名誉挽回とは程遠いものだった。