有馬記念の概要
- 開催日 12月28日(日)
- 競馬場 中山競馬場(右回り)
- 所在地 船橋市
- 国際格付け G1
- 国内格付け G1
- 出走条件 3歳以上
- 芝 芝
- 距離 2500m
- 総賞金(日本円) 10億9000万0000円
- 総賞金(米ドル) 約726万7000米ドル
- 初開催 1956年(メイヂヒカリ)
有馬記念の歴史
地球上に、有馬記念ほどの大きな売上規模を誇るレースは存在しない。12月のラストを飾るG1・有馬記念。このレースは2021年、490億9724万6400円という驚異的な売上を叩き出している。
JRAのカレンダーにある、ファン投票で出走馬が選ばれるグランプリ競走は2つある(もう一つは6月の宝塚記念)。有馬記念はジャパンカップと同じく巨額な賞金総額を持つが、ジャパンカップが世界の注目を集める一方で、有馬記念は他のどのレースとも違う形で、日本の競馬ファンの視線を一身に集める。
1956年に中山グランプリとして第1回が行われ、翌年、創設者である有馬頼寧に敬意を表して改称された。最大16頭のうち10頭はJRA所属馬からファン投票で選ばれ、残りの枠は地方所属馬または外国調教馬にも開かれる。
有馬記念を2度制した馬は6頭しかいない。直近では、2011年に勝利し、2013年にはまさに圧巻と言える8馬身差の勝利で引退レースを飾ったオルフェーヴルがそれに当たる。今年はレガレイラが連覇で、その仲間入りを狙う。

有馬記念のデータ
有馬記念の有力馬
レガレイラ(4歳牝馬・スワーヴリチャード × ロカ)
調教師: 木村哲也
騎手: クリストフ・ルメール
主な勝ち鞍: G1・有馬記念 (2024)
2023年のホープフルステークス、2024年の有馬記念に続いて、今年はエリザベス女王杯を制して3年連続のG1レース制覇。連覇を狙う今年の有馬記念では一番人気が予想されており、エリザベス女王杯からの連勝を狙う。
有馬記念の連覇は4頭、隔年での2勝はこれまで2頭いるが、牝馬は一頭もいない。もっとも、37年ぶりの牝馬制覇を成し遂げたダイワスカーレット以降、牝馬の勝ち馬はレガレイラも含めて5頭いるが、連覇にチャレンジしたのは2021年のクロノジェネシス(3着)のみ。翌年も現役を続けた牝馬の方が圧倒的に少ない。
今年は骨折明けのG1・宝塚記念こそ大きく敗れたものの、秋の始動戦となったG2・オールカマーと、続く11月のエリザベス女王杯は2連勝。期待を裏切る連敗が続き、実力そのものが不安視されていた昨年と違い、明らかに順調な過程で臨む。
しかし今回の有馬記念、パートナーの戸崎圭太騎手はダノンデサイルを選択。2023年のホープフルSを制したコンビ、クリストフ・ルメール騎手と約一年ぶりにタッグを組む。
ダノンデサイル(4歳牡馬・エピファネイア × トップデサイル)
調教師: 安田翔伍
騎手: 戸崎圭太
主な勝ち鞍: G1・日本ダービー (2024)
今年の有馬記念、戸崎圭太騎手はダノンデサイルをチョイス。今年、メイダン競馬場でG1・ドバイシーマクラシックを制し、「ベリーベリーホース」という日本競馬界で流行した名言を生み出したコンビが、有馬記念を彩る。
8月、ヨーク競馬場でのG1・インターナショナルステークスでは欧州の競馬に苦しみ、6頭立ての5着に敗れたが、帰国初戦のG1・ジャパンカップでは3着好走。例年、ジャパンカップを経由した馬が好成績を収めており、その点でもダノンデサイルの成績は当てはまる。

ミュージアムマイル(3歳牡馬・リオンディーズ × ミュージアムヒル)
調教師: 高柳大輔
騎手: クリスチャン・デムーロ
主な勝ち鞍: G1・皐月賞 (2025)
今年のG1・皐月賞ウィナーが、一週間前にG1・朝日杯フューチュリティステークスを勝利したクリスチャン・デムーロ騎手を新たな鞍上に迎え、有馬記念に参戦する。
前走、2着に入った11月のG1・天皇賞秋では、マスカレードボールとの3歳馬ワンツーを演出。有馬記念を勝てば、今年のクラシック世代はさらなる高い評判を得ることになりそうだ。
皐月賞、そして9月のG2・セントライト記念ではともに中山競馬場のコースで勝利を挙げており、今回の有馬記念でもそのコース相性の良さは高く評価できる。
3歳馬は昨年のレガレイラを含め、ここ10年の間に5頭が勝利。そのうち、秋天を経由して勝利した3歳馬はエフフォーリアとイクイノックスの2頭。初めての2500mという距離は課題だが、ここを乗り越えれば、歴代の名馬に肩を並べるタイトルを手にすることになる。
メイショウタバル(4歳牡馬・ゴールドシップ × メイショウタバル)
調教師: 石橋守
騎手: 武豊
主な勝ち鞍: G1・宝塚記念 (2025)
今年前半のグランプリ、G1・宝塚記念の勝ち馬が、有馬記念で春秋グランプリ制覇へと挑戦する。
これまでは極端な逃げ馬という走りを続けてきたが、ドバイでソウルラッシュと調教した効果もあり、帰国初戦の宝塚記念では折り合いのついた逃げを披露し、大阪杯連覇のベラジオオペラに完勝。嬉しい初のG1勝利を手にした。
前走、天皇賞秋ではスローペースを演出した逃げを打つも、末脚勝負になると分が悪く、結果は6着に敗北。しかし裏を返せば、より長い距離の有馬記念を見据えたペースメイクの予行練習となった一戦だった。
父のゴールドシップは勝利した2012年から、3年連続で有馬記念に入着。産駒も中山の長距離では確かな好成績を残しており、血統的な点でも有馬記念のコース相性は悪くないと言える。
問題はミステリーウェイの存在だ。G1・アルゼンチン共和国杯を逃げ切ったミステリーウェイは今回も先手を主張すると見られており、メイショウタバルが落ち着いた走りをできるのかは懸念事項となる。

ジャスティンパレス(6歳牡馬・ディープインパクト × パレスルーマー)
調教師: 杉山晴紀
騎手: 団野大成
主な勝ち鞍: G1・天皇賞春 (2023)
2023年のG1・天皇賞春を制した6歳牡馬は、今年の有馬記念がラストレース。来年の繁殖シーズンからは、アロースタッドでの種牡馬入りが決定している。
前走のジャパンカップでは5着、その前の天皇賞秋では3着に入っており、この2年間、古馬の中長距離G1レースで常に安定した成績を収め続けている。有馬記念はこれで4年連続の出走となり、これまでは7着、4着(1番人気)、5着と安定した上位着順を続けている。
もっとも、安定した成績は「勝ちきれない」と言い換えることもできる。宝塚記念と春天でそれぞれ3着に入り、2023年以来の好調なシーズンを送っている今年、団野大成騎手とともにもう一つのG1タイトルを加えられるだろうか。有馬記念を勝てば、種付け料も大きく上がりそうだ。
Idol Horseの競馬記者の見解は?
タカハシ・マサノブ記者
視点: 先行馬
例年、有馬記念では先行馬が好成績を残しており、差し馬でもある程度は前の位置にいるか、最終コーナーからスパートを掛けないと厳しい。2023年、一番人気で4着に敗れたジャスティンパレスはまさに「手遅れ」の典型例だった。
昨年上位のレガレイラとダノンデサイルは高く評価したい上、好位置からの競馬を得意としているシンエンペラーも重視したい。前走のジャパンカップでは中途半端な競馬に終わったが、中山の短い直線で粘り込む形になれば上位進出を狙える。
タスティエーラも2着に入った2023年の皐月賞では強い競馬を見せており、この再現ができれば有馬記念でも上位に入る余地がある。
推奨馬: 9番・ダノンデサイル、5番・レガレイラ、2番・シンエンペラー、 16番・タスティエーラ
ホーマン記者
視点: 逃げ馬有利
G1・宝塚記念を勝ったときと同様、ペースが上がらない展開になれば、再びメイショウタバルに有利に働く可能性がある。自然に前へ行ける数少ないタイプの一頭であり、6番枠を引いたことで、有馬記念でも主導権を握れる可能性がある。
鞍上は武豊騎手。逃げ馬でのペース判断において、卓越した能力を持つ名手の一人だ。
メイショウタバルはG1・皐月賞では中山で精彩を欠いたが、キャリア5勝のうち4勝は右回りで挙げたものになる。より成熟したレースぶりを手にした今なら、今回は中山が合うかもしれない。
推奨馬: 6番・メイショウタバル、5番・レガレイラ、9番・ダノンデサイル、2番・シンエンペラー
スティーヴン・ホー記者
視点: 中山適性とスタミナ
中山はタフなコースで、経験とスタミナがものを言う。昨年の勝ち馬レガレイラは、好枠を引き、信頼できる内容がある。ミュージアムマイルは斤量と内枠の恩恵を受ける。
アドマイヤテラはG1・菊花賞3着で有馬記念向きのスタミナを示し、その後G2・目黒記念を勝った。マイネルエンペラーは、2走前にこの距離のG2・日経賞を勝っており、見落とされがちな有力馬になり得る。
推奨馬: 5番・レガレイラ、4番・ミュージアムマイル、13番・アドマイヤテラ、12番・マイネルエンペラー
ジェイソン・クォック記者
視点: 4歳世代の強さ
有馬記念は若い馬と人気馬が強い。直近10年の勝ち馬はすべて5歳以下だった。
3歳馬2頭については懸念がある。ミュージアムマイルは東京優駿で敗れて以降、スタミナ面がまだ証明できておらず、シンエンペラーは相手関係が一段上がる。5歳勢では、タスティエーラは状態が上がらず、他は伏兵の域を出ない。となれば、残るのは4歳勢だ。
ダノンデサイルはジャパンカップで最後の200mで進路が詰まりながらも、しっかり3着を確保した。その前には海外2戦があり、有馬記念では上積みが見込める。
推奨馬: 9番・ダノンデサイル、5番・レガレイラ、13番・アドマイヤテラ、3番・ジャスティンパレス