これまで、4歳クラシックシリーズで数々の実績を残してきた大物騎手たちの動向が、今後数週間に渡って、香港ダービー戦線をより一層盛り上げている。本番が刻一刻と迫る中、場外戦も新たな展開を迎えようとしている。
3月2日に行われる二冠目の香港クラシックカップ(1800m)では、ジョアン・モレイラ騎手はパッキングエンジェルに騎乗することが決定。モレイラは、ダービー本番でもフランシス・ルイ厩舎のこの4歳馬とコンビを組む可能性が高い。
モレイラは2017年、ラッパードラゴンと共に4歳クラシックシリーズの三冠制覇を成し遂げた。また、2021年にはスカイダーシーでダービー2勝目を手にしている。
一方、二冠目にはイギリスのライアン・ムーア騎手も短期免許で参戦する。移籍前のヨーロッパ時代、イギリスで3度騎乗して全て3着以内という好相性の馬、ヨハネスブラームスとのコンビが有力視されている。
ムーアは2016年にサンジュエリーでクラシックカップを制しており、その2年後の2018年には、ピンハイスターでダービージョッキーの称号を手にしている。
我々の香港競馬専門家チームは、3月2日に行われる香港クラシックカップを前にして、BMW 香港ダービーの有力馬を改めてランキング形式で評価した。
パワーランキングは、10名の香港競馬専門家に香港ダービーの有力馬をトップ14までランク付けするよう依頼し、そのリストを基に作成されている。3月23日のレース当日に向けて、今後も定期的にリストを更新していく予定だ。
1. パッキングエンジェル (NZ)
前回のランキング順位 | 2 |
調教師 | フランシス・ルイ |
現在のレーティング | 81 |
輸入区分 | PPG(未出走の輸入馬) |
香港クラシックカップでジョアン・モレイラ騎手が騎乗することが決まり、さらに注目が集まる一頭となった。フランシス・ルイ調教師が管理する5頭のうちの一頭で、今回が1400m超の距離に初めて挑戦する。火曜日の朝、シャティンのダートで行われたバリアトライアルではマシュー・プーン騎手を背に軽めの調整を行った。
Totally dominant! 😤@BMW Hong Kong Derby hopeful Packing Angel cruises to a third straight win at Sha Tin with @zpurton…#4YOSeries | #LoveRacing | #HKracing pic.twitter.com/2nCyBSq8yW
— HKJC Racing (@HKJC_Racing) January 31, 2025
2. ノイジーボーイ (AUS)
前回のランキング順位 | 1 |
調教師 | Dennis Yip |
現在のレーティング | 84 |
前の調教師 | Todd Howlett |
2000mでの実績がすでにある数少ない馬の一頭。1月19日の勝利以来レースに出走していないため、ランキングのトップからは外れたものの、依然としてダービー有力候補のリアルスティール産駒だ。
3. マイウィッシュ (AUS)
前回のランキング順位 | 5 |
調教師 | マーク・ニューナム |
現在のレーティング | 95 |
輸入区分 | PPG(未出走の輸入馬) |
香港クラシックマイルの勝ち馬であり、レースごとに着実にランキングを上げてきた。1月末以降はレースに出走していないが、レーティング95というダービー登録馬の中で最高評価を受けており、出走は確実だ。これまで過小評価されてきた感があるが、クラシックマイルで主要なライバルたちを斤量差なしで完封した馬を、まだ軽視する必要はあるのだろうか?

4. ヨハネスブラームス (GB)
前回のランキング順位 | 18位タイ |
調教師 | ピエール・ン |
現在のレーティング | 90 |
前の調教師 | エイダン・オブライエン |
ランキング内の上下が激しい一頭。最初のランキングでは8位だったが、クラシックマイルでは期待外れの走りを見せ、トップ14から外れた。
しかし、先週末のマイル戦で力強い勝利を挙げ、見事な巻き返しを果たした。クラシックCではライアン・ムーア騎手が騎乗する予定、この組み合わせは理想的に思われる。これによって香港ダービーに向けて準備は整うだろう。エリートマイラーになり得る素質を持つが、ダービーのような緩急の激しいレース展開に適応できるかが鍵となる。
5. スタニングピーチ (IRE)
前回のランキング順位 | 4 |
調教師 | トニー・クルーズ |
現在のレーティング | 87 |
改名前 | Islandsinthestream |
前の調教師 | ジョセフ・オブライエン |
年初はトップ候補だったが、ハッピーバレーでの大敗とその後の不調がトニー・クルーズ調教師にとって大きな誤算となった。火曜日のバリアトライアルではブレントン・アヴドゥラ騎手が騎乗したが、クラシックC本番ではジェームズ・マクドナルド騎手が騎乗予定。ダービー前にもう一度巻き返すチャンスがある。
6. ディヴァーノ (AUS)
前回のランキング順位 | 6 |
調教師 | フランシス・ルイ |
現在のレーティング | 91 |
輸入区分 | PPG(未出走の輸入馬) |
元々はスプリンターと見られていたブレイブスマッシュ産駒だが、クラシックマイルでは最後方から差し脚を伸ばして、ブレイク・シン騎手を背に2着に食い込んだ。
ただし、シン騎手はパッキングハーモッドに騎乗することになったため、火曜日のシャティンでのトライアルではデレク・リョン騎手が手綱を取った。なお、レース当日はトム・マーカンド騎手が騎乗する予定だ。
Classy as! 👏
— HKJC Racing (@HKJC_Racing) January 31, 2025
My Wish staves off challengers to capture the first #4YOSeries leg – the HK$13 million Hong Kong Classic Mile – with @LukeFerraris for Mark Newnham… #LoveRacing | #HKracing pic.twitter.com/Zl6reIm7X3
7. ルビーロット (AUS)
前回のランキング順位 | 8 |
調教師 | デヴィッド・ヘイズ |
現在のレーティング | 93 |
輸入区分 | PPG(未出走の輸入馬) |
クラシックマイルでは後方から進め、最終的に6着でゴールした。後ろから競馬を進めたため、その後の勝ち馬ヨハネスブラームスを差し置いて追い上げる形となった。あのレースでは慎重な騎乗が求められたが、今回は2000mの距離をこなせるかどうかが最大の課題となる。
8. パッキングハーモッド (AUS)
前回のランキング順位 | 9 |
調教師 | フランシス・ルイ |
現在のレーティング | 93 |
輸入区分 | PPG(未出走の輸入馬) |
クラシックマイルの3着馬。火曜日のバリアトライアルでは抜群の切れ味を見せ、僚馬のディヴァーノを僅差で抑えた。その後ろにはカップフェラ、スタニングピーチ、パッキングエンジェルといったダービー候補たちが控えていた。マイルを超える距離が課題ではあるが、クラシックCではブレイク・シン騎手が騎乗予定であり、彼の持ち味であるリラックスした騎乗と長いスパートを生かせれば、注目すべき一頭となる。

9. ステップスアヘッド (AUS)
前回のランキング順位 | ランキング外 |
調教師 | フランシス・ルイ |
現在のレーティング | 80 |
輸入区分 | PPG(未出走の輸入馬) |
元々ランキング外だったが、先週末のクラス3戦(1800m)で勝利し、レーティング80に到達。これにより、クラシックCやダービーへの出走権を得られるギリギリの位置に浮上した。
10. カップフェラ (AUS)
前回のランキング順位 | 10 |
調教師 | フランシス・ルイ |
現在のレーティング | 83 |
前の調教師 | クリス・ウォーラー |
クラシックマイルでは外を回る展開となり、期待を裏切る結果となった。しかし、クラシックCやダービーでは距離が伸びることで適性が生かされる可能性がある。火曜日のダートトライアルではパッキングハーモッドの後ろでフィニッシュしたものの、しっかりとした走りを見せた。
未勝利馬が香港ダービーを制することはあり得るのか——その答えが出るかもしれない。
11. カリフォルニアトータリティ (AUS)
前回のランキング順位 | ランキング外 |
調教師 | トニー・クルーズ |
現在のレーティング | 81 |
輸入区分 | PPG(未出走の輸入馬) |
2月9日のクラス3戦(1800m)で勝利し、一気に注目馬となった。それ以前にもインターナショナルデーで似たような好走を見せている。クラシックCでは先行策を取る可能性が高く、その戦略がトニー・クルーズ調教師の管理馬にとって大きなアドバンテージとなるかもしれない。
12. ミックリー (IRE)
前回のランキング順位 | 3 |
調教師 | ジョン・サイズ |
現在のレーティング | 85 |
前の調教師 | エドワード・ベッセル |
日曜日のレースでは、ヨハネスブラームスの後方で全く競馬に加われず。ブリタニアステークスの勝ち馬であり、2戦目では勝利を収めたものの、その後の8週間で5回も着外。不安定な成績が続いている。
もしここからダービーを勝つことができれば、ルガーやピンハイスターで見せた伝説的な調教技術を上回る偉業となるかもしれない。ジョン・サイズ調教師の手腕が試される場面である。
13. スカイハート (NZ)
前回のランキング順位 | 22 |
調教師 | キャスパー・ファウンズ |
現在のレーティング | 76 |
輸入区分 | PPG(未出走の輸入馬) |
先週末のクラス3戦(1600m)では前目につけ、粘り強い走りを見せた。その末脚を見る限り、さらなる距離延長にも対応できそうだ。ただし、クラシックCへの出走枠を確保するには運が必要になるだろう。

14. ライトイヤーズチャーム (AUS)
前回のランキング順位 | ランク外 |
調教師 | デヴィッド・ユースタス |
現在のレーティング | 75 |
輸入区分 | PP(既出走の輸入馬) |
2月9日の1400m戦では圧勝。わずか3,750豪ドル(18,500香港ドル)で購入された馬としては驚異的なパフォーマンスを見せた。それ以前の唯一の勝利は、ニューサウスウェールズ州北部のリズモア競馬場でのものだった。その血統からはマイル以上の距離に対応できるか疑問視されるが、この圧勝劇が評価され、トップ14入りを果たした。ただし、レーティング75ではクラシックマイルには足りないため、クラス3のレースに勝利して権利を得る必要がある。
専門家パネル: デイヴィッド・モーガン(Idol Horse)、アンドリュー・ホーキンス(Idol Horse)、マイケル・コックス(Idol Horse)、スティーヴン・ホー(Idol Horse)、ゾヘル・アブドゥルカリム(タイム誌アジア版元編集者・香港競馬専門家)、ピート・トゥーミー(ブラッドストックエージェント)、グラント・コートニー(競馬写真家)、マイク・ドゥルーズ(香港競馬アナリスト)、ルーク・ミドルブルック(香港競馬アナリスト)