日本のスーパースター、ドウデュースは日曜日のG1・有馬記念(2500m)がラストランの予定とされていたが、右前脚の跛行のため出走を取り消すと、金曜日の午後に友道康夫調教師が発表した。ラストランは走らず、そのまま引退となる。
また、有馬記念の直後に予定されていた中山の引退式も中止になることが、合わせて発表された。
日本の競馬界に大きな衝撃が走った。世界で最も馬券を多く売り上げるレース、有馬記念において、ドウデュースは2019年以来となる単勝1倍台での出走が見込まれていた。また、恒例のファン投票では過去最多得票を記録し、500万票以上のうち47万8415票を獲得した。
「今朝、キャンターを乗って、プールに行こうとした時に少し歩様がおかしかった」と友道調教師は当時の状況を説明する。
「現時点で分かっているのはそれだけです。これだけの馬なので、競馬で何かが起きてはいけないので、オーナーと話し合って出走を取り止めることになりました」
「ファンの皆さんには本当に申し訳なく、謝りたい気持ちです。引退式は中止になりますが、オーナーと相談して、夏の札幌競馬場などでお披露目できればと思っています」
「武豊騎手とは電話でこのことを伝えて『仕方ない』と言っていました。4年後に産駒をお願いしますという話をしました」
アメリカのG2勝ち馬、ダストアンドダイヤモンズを母に持つハーツクライ産駒のドウデュースは、グレーと白で彩られた勝負服で知られる松島正昭氏の所有馬である。2022年の凱旋門賞では武豊騎手を背にアルピニスタの19着に敗北。オーナーの夢である『武豊騎手で凱旋門賞制覇』という悲願は叶わなかったが、松島氏は武豊が60代になるまで現役を続け、ドウデュースの産駒で凱旋門賞を制覇するという夢を抱いている。
「多くの応援、多くの楽しみをして頂きましたが、本当に残念な事になりファンの皆様には申し訳なくお詫び申し上げます。ドウデュースは本当によく頑張ってくれたと思います」
「ドウデュースは来年から新しいステージで頑張ってくれると思います。私はいつか、ドウデュースの子供で武豊ジョッキーを背にパリロンシャンで日の丸を上げるという夢の続きを目標に頑張ります」
天皇賞秋、ジャパンカップ、有馬記念の3レース全てを制した馬はテイエムオペラオー、ゼンノロブロイ、キタサンブラック、イクイノックス、そしてドウデュースの5頭のみだが、同一年制覇を達成した馬はテイエムオペラオーとゼンノロブロイのみ。史上3頭目の偉業を達成すべく、今年の有馬記念に挑戦する予定だった。
昨年のドバイターフでは右前脚の怪我が出走取消の原因となったが、今回の故障は異なる箇所を痛めたとされている。
ドウデュースは17戦8勝、日本・ドバイ・フランスで17億7000万円以上(1130万米ドル)の賞金総額を獲得という通算成績を残し、ターフを去ることになった。
来年からは北海道の社台スタリオンステーションで種牡馬として供用される。オルフェーヴル、ロードカナロア、モーリス、キタサンブラック、エフフォーリア、イクイノックスといった歴代のJRA年度代表馬が6頭もラインナップに名を連ねており、来月の年度表彰でドウデュースが2024年の年度代表馬に選出された場合、その数は7頭に増える予定だ。