日曜日に行われた16頭立ての凱旋門賞は、ダリズが連覇を果たした。牡馬による連覇は約半世紀ぶりだが、馬主のザラ・アガ・カーン王女は、来年10月にパリロンシャンの舞台へ戻り、史上初の3連覇を目指す可能性は低いと語った。
フランシス=アンリ・グラファール調教師が管理する4歳馬のダリズは、最終コーナーで前を塞がれたものの、ミカエル・バルザローナ騎手が外へ持ち出すと、そこから英国の伏兵ベイシティローラーを差し切った。3着には、アイルランドから参戦した牝馬、ダイヤモンドネックレスが入った。
ダリズは凱旋門賞を2度制した史上9頭目の馬となり、2017年と2018年に制した牝馬、エネイブル以来となる連覇を達成した。牡馬による連覇は、ヴィンセント・オブライエン調教師とレスター・ピゴット騎手のコンビで、1977年・1978年の凱旋門賞を制したアレッジド以来だ。
ザラ王女は昨年、父の死去を受けて、アガ・カーンスタッドの競走馬事業を引き継いだ。レース後、ダリズに凱旋門賞三連覇を狙わせるかと問われると、こう答えた。
「いいえ、その可能性はかなり低いと思います。ダリズはほかに果たすべき役目があります。レースに出すたび、リスクを伴うわけですから」
ザラ王女は、ダリズの母ダリヤカナが年齢とともに成長したとしながらも、ダリズをさらに1年間現役で走らせることが正しい判断かどうかは分からないと語った。
ダリヤカナはアラン・ド・ロワイエ=デュプレ調教師の管理馬として、2009年にシャティン競馬場の香港ヴァーズを制覇。ザラ王女の父、アガ・カーン4世殿下に香港国際競走での初勝利をもたらした。
グラファール調教師は、3度目の挑戦の機会を得られるなら歓迎すると明言。「この馬で3勝目を狙わせてもらえたらと思うのですが、おそらく許してはもらえないでしょうね」とコメントした。


グラファール調教師は、難しい準備期間を経て迎えた日曜のレースで、何よりも安堵を感じたという。
「この2週間は、本当にプレッシャーを感じていました。平常心を保とうとしましたが、そうするのは難しいものです」
「レース前、ダリズがゲートに入った時は肩にのしかかる重圧がとてつもなく大きかった。ですが、これほど素晴らしいチャンピオンですから、進路が開いてからは少し落ち着けました」
グラファール調教師はまた、昨年の凱旋門賞制覇後に引退させず、4歳になってもダリズを現役生活に留める判断を下したザラ王女に感謝した。
「4歳の牡馬が勝つのは、いつも難しいものです。ダリズが真のチャンピオンであることを証明しようと、挑戦を決めてくれたザラ王女に感謝します」
凱旋門賞連覇に導いたバルザローナ騎手は、コーナーで進路を塞がれた時も心配はしていなかったと話した。
「このようなレースを2度勝つには、並外れた馬でなければなりません」とバルザローナ騎手は『スカイスポーツレーシング』に語った。
「凱旋門賞はいつも厳しいレースですし、思い描いた通りの展開にはなりませんでした。それでも、勝つにふさわしい馬です」
「自分がどれほど強い馬に乗っているのか分かっていたので、冷静でいられました」
ザラ王女は、この勝利で亡き父を思い出したという。父は2008年に制した無敗の牝馬ザルカヴァを含め、凱旋門賞をこれまで複数回制している。
「昨年はレースの興奮の中にいながら、父を亡くした悲しみとも向き合っていたので、特につらかったです。今年は心配はまったくしていませんでした。ダリズには強い勝負根性とスピードがありますから、落ち着いて見ていられました」
緑地に赤い肩章の勝負服を着たバルザローナ騎手を背に、ダリズが勝負圏に浮上すると、約3万人の観客から大きな歓声が上がった。ザラ王女は、一族が競馬に携わってきた104年の歴史が、あの声援につながったと語った。
ベイシティローラーとダイヤモンドネックレスは、ともに外枠から好走した。英国勢で人気上位の2頭、カルパナとモルティーズクロスは、それぞれ5着と6着に終わった。
日本馬による凱旋門賞初制覇は、今回も実現しなかった。アドマイヤテラは11着。レースの大半で先頭を走ったメイショウタバルは、終盤に失速して14着だった。
アドマイヤテラとメイショウタバルの二頭は、凱旋門賞に出走した39頭目と40頭目の日本馬となった。日本馬の挑戦は1969年のスピードシンボリに始まり、2着はこれまで4度。1999年のエルコンドルパサー、2010年のナカヤマフェスタ、2012年と2013年のオルフェーヴルが記録している。