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ヴィンセント・ホー騎手(チャクイウ・ホー)は滞在先のイギリスで18日間の騎乗停止処分を科されたが、8月24日と25日に札幌競馬場で開催されるワールドオールスタージョッキーズには出場できる見通しだ。

BHA(英国競馬統括機構)の規定によれば、騎乗停止の期間は変更可能と定められており、ホーはその制度を利用して期間を変更した形となった。

香港出身のホーは、ポンテフラクト競馬場とグッドウッド競馬場の開催で鞭の使用回数が制限数の6回を超えてしまい、3回(合計18日)の騎乗停止処分を受けた。その期間は当初、8月6日〜12日、8月16日〜19日、8月20日〜26日に設定されると見られていた。

しかし、前述の制度を利用して一部の期間を前倒し、2回目の期間を8月13日〜16日、3回目を8月17日〜23日に変更した。これにより、WASJの開催日は騎乗停止期間と被らないよう調整することができた。

「日程をずらすことができたので、ワールドオールスタージョッキーズには出場できます。騎乗停止は23日で終わるので、札幌での騎乗は可能です」

シャンティイに滞在中のホーは、Idol Horseの電話取材に対して事情を説明してくれた。

Golden Sixty 2023 Hong Kong Mile
GOLDEN SIXTY, VINCENT HO / G1 Hong Kong Mile // Sha Tin /// 2023 //// Photo by Yu Chun Christopher Won

今後数日はフランスに滞在し、パリオリンピックを観戦する予定となっている。その後はイギリスに戻り、ミドルハムのチャーリー・ジョンストン厩舎で数日間過ごしてから、日本に渡ることになる。

「どこでも同じルールなら簡単ですが、時には異なる制度を体験するのも良い経験です。イギリスでは6回、フランスでは4回、ドイツでは3回ですが、香港では鞭の使用回数制限がありません。馬が反応するなら鞭を使い、無いならすぐ止めます。新しい場所で乗るとなると、ルールへの適応に時間がかかりますね」

8月4日にはデュッセルドルフ競馬場でG1・ドイツオークスに騎乗して3着に入ったが、競馬場の外では競馬に反対する抗議者を見かけたという。

「ヨーロッパでは競馬に反対する人々がいるので、競馬がどう見られているのか注意を払う必要があります」

「3日目の騎乗停止となった機会では、騎乗馬が他の馬の後ろに入り込む素振りを見せたので、矯正のために鞭を余計に2回使う形になってしまいました。もちろん、その国の裁決委員とルールには従わなくてはいけません」

「グッドウッドでの別の騎乗停止は、勝利を狙える展開での出来事でした。アタマ差で敗れたものの、鞭を6回ではなく8回使ってしまいました。5回までは数えていたのですが、勝利が目前だったのでその後は数えていませんでした。やはり、慣れには時間がかかります。来年はもっと注意するようにします」

ヨーロッパ滞在期間の最後はジョンストン厩舎で調教に乗って過ごす予定だが、日本に渡る前に厩舎運営についても勉強の機会を設ける予定だ。

「馬の調教方法について学び、もう少し深く勉強したいと思います。騎乗停止も悪いことばかりではありません」

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍していた。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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