Aa Aa Aa
  • 開催日 12月7日(日)
  • 競馬場 中京競馬場(左回り)
  • 所在地 豊明市
  • 国際格付け G1
  • 国内格付け G1
  • 出走条件 3歳以上
  • 馬場 ダート
  • 距離 1800m
  • 総賞金(日本円) 2億6040万0000円
  • 総賞金(米ドル) 約173万6000米ドル
  • 初開催 2000年 (ウイングアロー)

G1・チャンピオンズカップは、かつてジャパンカップダートの名で施行されていたレースで、格式高いジャパンカップのダート版として創設された。

このレースはその後、いくつもの変更を経験している。2008年には東京競馬場から阪神競馬場に移り、それに伴い距離も2100mから1800mへと短縮された。さらに2014年には中京競馬場へと変更され、コースも右回りから左回りに。同時に、JRAが国際的な訴求力を高めることを狙い、レース名もより分かりやすい『チャンピオンズカップ』へと改称された。

初開催は2000年、第1回開催は岡部幸雄騎手のウィングアローが制した。岡部は今なお最年長優勝騎手としてその名を残している。一方で、歴代最多勝利騎手はレジェンド・武豊騎手。これまでに4勝(2001年、2004年、2005年、2007年)を挙げており、2025年はメイショウハリオとのコンビで臨む。

最初に複数回優勝を果たしたのはカネヒキリ(2005年、2008年)で、2008年の勝利は屈腱炎による28か月の長期休養明け2戦目という劇的な復活Vだった。

その他の複数回優勝馬はいずれも連覇で、最初はトランセンド(2010年、2011年)、そして直近ではレモンポップが2連覇し、直後に種牡馬入りしている。レモンポップの引退もあり、前人未到の3連覇は未だ現れていない。

Ryusei Sakai soaking up Lemon Pop's win
LEMON POP, RYUSEI SAKAI / G1 Champions Cup // Chukyo /// 2024 //// Photo by Shuhei Okada

ナルカミ(3歳牡馬・サンダースノー × オムニプレゼンス)

調教師: 田中博康

騎手: 戸崎圭太

主な勝ち鞍: Jpn1・ジャパンダートクラシック (2025)

ナルカミは春先に田中博康厩舎へと転厩して以降、無敗の4連勝で一気にスターダムへと上り詰めた。特に10月のJpn1・ジャパンダートクラシックでは、ダート三冠がかかるナチュラルライズを3馬身、ルクソールカフェを12馬身突き放し、ダート戦線に大きな衝撃を与えた。

チャンピオンズカップに改称されて中京に移転した2014年以降、3歳馬の勝利はルヴァンスレーヴとクリソベリルのみ。いずれも怪我に悩まされてキャリアのピークは短かったが、「連勝中の底知れぬモンスター」という評判は今のナルカミと共通するものがあった。

懸念点はこれまでの経験の少なさ。ほとんどのレースを先頭か二番手で追走しており、本格的な先頭争いに巻き込まれた経験は無い。果たして12番という比較的外の枠から、楽に先手を奪えるのか。しかし、フォーエバーヤングとの対戦を前にここで負けるわけにはいかない。

Keita Tosaki rides Narukami to victory in the 2025 Japan Dirt Classic at Oi
NARUKAMI, KEITA TOSAKI / Listed Japan Dirt Classic // Oi Racecourse /// 2025 //// Photo by @Weboshi_photo

ダブルハートボンド(4歳牝馬・キズナ × パーシステントリー)

調教師: 大久保龍志

騎手: 坂井瑠星

主な勝ち鞍: G3・みやこステークス (2025)

上下にハートを重ねたような額の星が名前の由来となったダブルハートボンドは、その名の通り、“W”を積み重ねてきた。条件戦レベルではすべて3馬身以上の圧勝、昨年9月の骨折も乗り越え、今年11月のG3・みやこステークスで重賞馬の仲間入りを果たした。

もっとも、チャンピオンズカップでの牝馬は、先述した3歳馬を超える不利な条件だ。勝ったのは2015年に単勝66倍から波乱を起こしたサンビスタのみ。そもそも牝馬が有力馬として出走した例が少なく、2021年のソダシ(2番人気で12着)がほぼ唯一の例だ。

キャリア初敗北となった8月のJpn3・ブリーダーズゴールドカップでは、オーサムリザルトとの先頭争いを延々と繰り広げ、最後は共倒れとなるも2着は死守。みやこSでもハイペースを2番手で追走し、最終的にトラックレコードで駆け抜けた。

タフな展開でこそ輝きを見せるタイプだが、トップクラスの相手は未経験だ。

ルクソールカフェ(3歳牡馬・American Pharoah x Molly’s Follies)

調教師: 堀宣行

騎手: フローレン・ジェルー

主な勝ち鞍: G3・武蔵野ステークス (2025)

4連勝でケンタッキーダービーへと挑戦した3歳の逸材だが、アメリカ遠征では泥濘んだダートに苦しんで12着。そこから5ヶ月を経て、復帰戦となった9月のジャパンダートクラシックでは3着に。1着のナルカミからは12馬身引き離され、厳しい船出となった。

しかし、前哨戦のG3・武蔵野ステークスでは本来の強さが戻り、3馬身半の快勝で古馬を圧倒。自身の存在感をアピールするかのような圧勝を見せ、チャンピオンズカップに向けた評価を急上昇させた。

問題は大外・16番からのスタート。2023年のレモンポップは15番枠からの勝利だったが、16番枠は過去一度も勝っておらず、それどころか一度も3着以内に入っていない。振り返ると、全兄のカフェファラオも2021年にこの枠から11着に敗れている。

悪い条件を振り切るだけの底力があるのか?真価が問われる一戦となる。

シックスペンス(4歳牡馬・キズナ × フィンレイズラッキーチャーム)

調教師: 国枝栄

騎手: クリストフ・ルメール

主な勝ち鞍: G2・毎日王冠 (2024)

日本ダービー、大阪杯、安田記念ではいずれも上位人気から大敗に終わり、あと一歩が足りないキャリアを送っていたシックスペンス。しかし、『G2ホース』を脱却するために決断したダート転向初戦のJpn1・南部杯では2着に入り、新たな希望の光が見えてきた。

その南部杯では御神本訓史騎手が終始外を回り、初ダートのシックスペンスに砂を被せないよう立ち回り、2着入りをアシストした。チャンピオンズカップでは11番枠と外目の枠を引いたが、キックバックへの対処という点も引き続き課題となるだろう。

水曜日の最終追い切りでは、美浦トレセンの坂路コースでこの日の最速時計タイを記録。来年定年を迎える国枝師にとっては、勝てば2014年以来のダノンプラチナ以来となる牡馬のG1馬誕生、そしてダートG1は初制覇となる。

Sixpence wins the Nakayama Kinen under Christophe Lemaire
SIXPENCE, CHRISTOPHE LEMAIRE / G2 Nakayama Kinen // Nakayama Racecourse /// 2025 //// Photo by JRA

ウィルソンテソーロ(6歳牡馬・キタサンブラック × チェストケローズ)

調教師: 高木登

騎手: 川田将雅

主な勝ち鞍: Jpn1・マイルチャンピオンシップ南部杯 (2025)

まるでニュースターの祭典のような今年のチャンピオンズカップだが、「忘れてもらっては困る」と言いたげなベテラン勢の代表格が、何を隠そうウィルソンテソーロだ。2023年と2024年はいずれもレモンポップに阻まれて2着、3度目の挑戦でチャンピオンズカップ制覇を目指す。

サウジカップでの4着から始まった今シーズンは、7月のJpn1・帝王賞で期待を裏切る5着に敗れ、国内では2024年2月以来となる惨敗を経験。秋初戦の南部杯では4馬身差の圧勝を飾るも、前走のJpn1・JBCクラシックでは再び5着に敗れた。

これまでの安定感が今年は見られないだけに、調子の不安定さは心配な点だ。しかし、2年連続で2着に入ったコース相性の良さは、それを加味しても魅力的。実績ある“古豪”の代表格として、正念場の一戦に挑む。

メイショウハリオ(8歳牡馬・パイロ × メイショウオウヒ)

調教師: 岡田稲男

騎手: 武豊

主な勝ち鞍: Jpn1・川崎記念 (2025)

2021年からダートのトップ戦線で走り続け、これまでにJpn1レースを4勝している大ベテラン。今年で8歳を迎え、今年のチャンピオンズカップが引退レースとなる。しかし、4月にJpn1・川崎記念を制すと、前走のJBCクラシックでも2着。昔と変わらない強さを今シーズンも見せている。

7月の帝王賞では直前で出走取消となったが、大井競馬場へと輸送中の馬運車内で餌を喉に詰まらせ、体調を崩したのが原因だった。馬運車が立ち寄った先のガソリンスタンドで、店員からホースを借りて喉を洗い流したため事なきを得たが、その“ファインプレー”がなければ、今回の出走も叶わなかっただろう。

メイショウハリオの前オーナー、松本好雄氏は8月に逝去。引退レースで弔いの勝利を挙げられるか、注目が集まる。主戦の浜中俊騎手は先月のレースで負傷したため、今回は武豊騎手が初騎乗。「ベテランコンビ」で勝利を目指す。

タカハシ・マサノブ記者

視点: リピーター

サウンドトゥルー、ゴールドドリーム、インティ、チュウワウィザード、そして一昨年と全く同じ上位3頭で決着した昨年のレースのように、チャンピオンズカップは過去の好走馬をもう一度狙えるレースだ。

ウィルソンテソーロは調子の乱高下が激しいシーズンを送っているが、南部杯での強さを見ても、その実力に疑いの余地はない。得意のコースに戻っての本領発揮を期待したい。2年前の5着馬、メイショウハリオも同様の理由でコース相性の良さを評価したい。

推奨馬: 8番・ウィルソンテソーロ、12番・ナルカミ、3番・メイショウハリオ、2番・ダブルハートボンド


ホーマン記者

視点: JBC実績

チャンピオンズカップは、JRAを代表する2つのダートG1の一つであり、その出走馬はJRAの主要重賞や、地方交流のJpn1から選りすぐられるのが通例だ。その意味で、11月上旬に行われる、3つのダートJpn1が組まれたJBCデーは、極めて重要な前哨戦かつ実力を測る物差しとなる。

その関連性は極めて強い。過去10年で、チャンピオンズカップの3着以内に入った馬のうち8頭は、その年のJBCクラシックでも3着以内に好走していた。今年この条件を満たすのはメイショウハリオただ一頭である。

前残りになりやすい船橋競馬場で行われた今年のJBCクラシックで、後方から唯一しっかりと脚を伸ばした差し馬がメイショウハリオだ。予想オッズでは単勝23倍前後だが、一発があってもいい伏兵と言える。

推奨馬:  12番・ナルカミ、3番・メイショウハリオ、16番・ルクソールカフェ、10番・テンカジョウ


スティーブン・ホー記者

視点: 海外経験

チャンピオンズカップは、日本調教馬が実力と評価を示し、自らの力を証明する舞台となっている。その中で、過去に海外遠征を経験している馬は、総じて信頼度が高い傾向にある。今年のメンバーでは、ルクソールカフェとウィルソンテソーロが海外経験を持つ有力馬として目立つ存在であり、その点がこのメンバー構成の中で優位になり得る。

ウィルソンテソーロはこの2年連続でチャンピオンズカップ2着と、常にこの舞台で通用する力を示してきた。レモンポップ不在の今年は、G1の舞台を渡り歩いてきた実績豊富なウィルソンテソーロが、いよいよこのレースの頂点に立つ番だろう。

推奨馬: 8番・ウィルソンテソーロ、16番・ルクソールカフェ、12番・ナルカミ、11番・シックスペンス


ジェイソン・クォック記者

視点: 南部杯組

過去10年、南部杯はチャンピオンズカップへの最重要と言える前哨戦となってきた。連覇を果たしたレモンポップ(2023年、2024年)に加え、ルヴァンスレーヴ(2018年)、ゴールドドリーム(2017年)も、この南部杯で1着か2着に好走してからチャンピオンズカップを制している。

同じローテーションでこのレースの馬券圏内に入った馬もさらに3頭いることから、メッセージは明白だ。南部杯で結果を出すことが、この舞台での「本物の有力馬」である条件だと言っていい。

今年の南部杯の1、2着馬はいずれも高い評価が必要だが、ウィルソンテソーロよりも2着馬のシックスペンスを上位に取りたい。芝のG2で実績を残した馬が、ダート転向初戦であれだけ走るのは極めて珍しい。能力の高さに加え、ダート適性も証明されたと言える。2013年の勝ち馬、べルシャザールに近いタイプだ。

中京では3戦3勝と無敗を誇る牝馬、ダブルハートボンドも興味深い存在だ。また、ベテランのメイショウハリオも見逃せない。中京ダートを知り尽くした巧者であり、8歳になった今も依然として勝負圏内の力を保っている。浜中騎手から武豊騎手への乗り替わりという大きな変化もあり、その点も注目材料だ。

推奨馬: 11番・シックスペンス、8番・ウィルソンテソーロ、2番・ダブルハートボンド、3番・メイショウハリオ

IDOL HORSE、多言語で展開するグローバル競馬ニュースネットワーク。

Idol Horseの記事をすべて見る

すべてのニュースをお手元に。

Idol Horseのニュースレターに登録