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先月、ドーヴィル競馬場で見せたアロヒアリイの鮮烈な勝利は、この牡馬の意外な一面を明らかにした。それは、日本で7度のリーディングジョッキーに輝いたクリストフ・ルメール騎手でさえ驚かせるものだった。

この10年間、日本を主戦場としてきたフランス出身のルメール騎手は、日本競馬界とともに10月5日のG1・凱旋門賞で悲願の初勝利を目指す。アロヒアリイは、今年のG1・東京優駿を制したクロワデュノール、そしてビザンチンドリームと並ぶ、日本期待の3頭の一角を担う存在だ。

珍しいことに、この3頭はいずれもフランスの芝で行われた前哨戦を勝利しており、関係者やファンの間では「今年こそ日本の年になるのでは」との期待が高まっている。中でもアロヒアリイは、G2・ギヨームドルナノ賞で3馬身半差の圧勝を飾り、一躍注目を集めた。

「正直、あの勝ち方には驚きました。ただ勝っただけでなく、その内容に衝撃を受けました。日本では見せなかった素晴らしい瞬発力を、あの日は披露してくれたんです」とルメール騎手はIdol Horseに語った。

アロヒアリイは3歳夏から秋にかけて、まさに成長期を迎えている。昨年11月、東京競馬場の新馬戦を勝利してデビューして以降、ここまでわずか5戦。2戦目は2着、そしてクラシックへの重要なステップレースとして知られるG2・弥生賞ディープインパクト記念では3着に入った。4月のG1・皐月賞では、2着クロワデュノールから約3馬身差の8着と健闘を見せた。

その後は休養を経てフランスへ渡航。G1初挑戦から4か月後、ノルマンディー海岸のドーヴィル競馬場で、鮮やかな逃げ切り勝ちを決めた。

「普段はスタートが遅く、15頭の馬の後方からレースを進めるタイプですが、この時は自分でペースを作り、前でレースをコントロールできたことが、彼にとってとても心地よかったのでしょう。フランスでのレースはとても楽しそうに走っていました」とルメール騎手は振り返る。

しかし、毎年のことながらパリの秋は雨が多く、日本馬にとっては大きな試練となる。日本の馬は、国内で経験することが多い「高速馬場」では圧倒的な強さを発揮するが、重い馬場では苦戦を強いられる傾向にある。

先週、アロヒアリイは田中博康調教師が見守る中、山崎啓行調教助手を背にロンシャン競馬場で軽めの調教を行った。田中師は「やや柔らかめの馬場を無難にこなした」と満足げな様子だったが、レース当日は天候次第で条件が大きく変わるため、試練はこれからだ。

「彼のためにも馬場が良好なままであってほしいです」とルメール騎手は願う。「ドーヴィルでは、フランスダービー2着馬でG2・ニエル賞を制した馬を破りましたから、内容は素晴らしいものでした」

「凱旋門賞を勝てるかどうかは分かりませんが、間違いなく能力の高い馬です。美しく力強い馬ですし、もし馬場が良好なままであれば、きっと素晴らしい走りを見せてくれるはずです」

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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