香港ジョッキークラブ(HKJC)は、現在運用している鞭の使用に関するルールを見直す方針を発表した。他の主要競馬国の動向を注視しつつ、関係者との協議を進めていく構えだ。
現在、香港の鞭使用ルールは『裁量制』を採用しており、使用回数に明確な上限規定はない。過度、または不適切な使用があったと判断された場合に限り、裁決委員が制裁を科す形式だ。
これは世界の主要競馬国のなかでも珍しい運用で、例えばイギリスやオーストラリア、アメリカなどでは、使用回数が明確に定められている。
しかし、この従来の方針が今後見直される可能性が高まっている。
香港ジョッキークラブ競走部門エグゼクティブディレクターを務めるアンドリュー・ハーディング氏は、すでに関係者との話し合いを開始していることを明かした。まずは火曜日に騎手との会合を予定しており、今後は調教師や馬主とも意見を交わすという。
「我々は長らく鞭の使用ルールについて検討を重ねてきました。まずは火曜日に騎手と話し合い、今後のルール変更の是非を評価するつもりです」とハーディング氏は説明。
「その後、調教師や馬主とも話し合いを行い、総合的な判断を下します」
今回の見直しは、香港のG1競走全12レースが『ワールドプール』の発売スケジュールに組み込まれると発表されてから、5ヶ月後の動きとなる。
ワールドプールは、世界各地の最高峰レースを対象とした国際的な馬券投票システムで、現在その対象となっている8カ国のうち、鞭の使用回数に明確なルールがないのは香港のみである。
ハーディング氏は「現時点では何も決まっていない」としつつも、鞭の規制強化に向けた国際的な流れを認識しており、その動向を注視していると述べた。
「他の主要競馬国では時間をかけて鞭の使用規制が変わってきました。我々もその変化を注視し、その効果を見極めてきました。これからも状況を見守りつつ、騎手たちと話し合い、香港でも変更の必要があるのか、あるとすればどのようなアプローチが適切なのかを考えていきます」
また、鞭の使用に関しては、段階的かつ慎重な対応を取ることが可能との見解も示し、ルールの変更がある場合は、9月開幕の2025/26シーズンから適用される見通しであることも明らかにした。
「鞭の使用を減らすべき理由はあると思います。仮に何か変更があるとしても、それは次のシーズンの開始からであり、即時の変更ではありません」