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昨年、オーストラリア・シドニーの秋競馬にヴィアシスティーナを送り込んだユーロン・インベストメンツとクリス・ウォーラー調教師は、今年も北半球からの遠征馬を送り込み、再びの成功を狙っている。

昨年のセリで高額落札された北米のG1勝ち馬3頭たちは、ウォーラー調教師の管理のもと、『ザ・チャンピオンシップス』の登録締切日である火曜日にエントリーする予定となっている。

その3頭とは、2022年のカナダ年度代表馬モイラ、モイラのかつてのウッドバインでの僚馬フルカウントフェリシア、そしてカリフォルニアのトップ牝馬アニセットだ。

モイラ、フルカウントフェリシア、アニセットの3頭は、4月5日に行われる賞金400万豪ドル(約3億9000万円)のG1・ドンカスターマイル(芝1600m)、そして4月12日に施行される2つの主要レース、500万豪ドル(約4億9000万円)のG1・クイーンエリザベスステークス(芝2000m)、および100万豪ドル(約9800万円)のG1・クイーンオブザターフステークス(芝1600m・牝馬限定)への出走が見込まれている。

ユーロンとウォーラー厩舎は、フランスのG1で好走歴のあるザリアとリバーオブスターズをクイーンエリザベスS、さらに4月12日に行われる賞金200万豪ドル(約1億9600万円)のG1・シドニーカップ(3200m)にエントリーしている。

また、張月勝氏のユーロン所有馬として、アイルランドのリステッド競走勝ち馬、サクティがミック・プライス & マイケル・ケントJr.厩舎に加わる予定だ。

この大がかりな遠征馬たちは、すでにオーストラリアで調整を進めているユーロンの主力馬たちに加わる形となる。その筆頭はヴィアシスティーナで、彼女は2月10日(土)にランドウィック競馬場で行われるG2・アポロステークス(1400m)で2025年のを初戦を迎える。ユーロンの充実した秋の布陣には、トップクラスの3歳馬グローイングエンパイアや、G1・マイトアンドパワーステークスの勝ち馬デニーナレッジも含まれている。

「昨年のセリで北米の牝馬たちを購入した後、ヨーロッパへ移送しました」とユーロンのゼネラルマネージャー、ヴィン・コックス氏はIdol Horseに語った。

「彼女たちはジェームズ・ファーガソン厩舎で調整されており、これは昨年のヴィアシスティーナと同じ過程です。我々は彼女を他の牝馬たち、プラスデュキャルゼルやポプトロニックとともにヨーロッパに送りましたが、それぞれ別の調教師に預けました。そして結果的にヴィアシスティーナはオーストラリアに到着してわずか3週間でランヴェットステークスを制しました。」

「今回の遠征馬たちは、数週間以内にオーストラリアへ向けて出発します。すべてが順調に進めば、レースへ向かう予定ですが、具体的な目標はまだ決まっていません。場合によっては、今回の遠征でレースに出走しない可能性もあります。ただ、現時点での選択肢としてレースに向かう準備は整えており、うまく進めばレースに臨むことになるでしょう。」

ユーロンの馬たちは今週中に検疫に入り、今月末にはシドニーへ到着する予定だ。

モイラは、昨年11月にデルマー競馬場で行われたG1・ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ(芝2200m)で優勝し、同レースでフルカウントフェリシアが7着、アニセットが9着となった。モイラは前年には、欧州のトップ牝馬インスパイラルとウォームハートに次ぐ3着に入っており、同着で香港ヴァーズ勝ち馬ウインマリリンと並んでゴールしている。

このBC制覇が、モイラにとって初のG1勝利となったが、それ以前にもアメリカとカナダでG2競走をそれぞれ2勝している。また、カナダ競馬において最も権威あるレースである2022年のクイーンズプレート(現在のキングスプレート)も制している。

モイラは、先月フロリダで開催されたエクリプス賞の授賞式で、2024年のアメリカ最優秀芝牝馬に選出された。その馬名は、カナダの有名なコメディドラマ『シッツ・クリーク』に登場するキャサリン・オハラ演じるモイラ・ローズというキャラクターに由来している。

ウッドバインのケヴィン・アタード調教師は、2024年を通じてモイラとフルカウントフェリシアの管理を担当していた。BC前の最終戦では、フルカウントフェリシアが木村和士騎手の巧みな逃げでG1・E. P.テイラーステークスを制し、モイラを退けて勝利を収めた。

Kazushi Kimura and Full Count Felicia
FULL COUNT FELICIA, KAZUSHI KIMURA / G1 E. P. Taylor Stakes // Woodbine /// 2024 /// Photo by Woodbine / Michael Burns

イギリス生まれの牝馬アニセットは、3歳シーズンの初期にアメリカへ移籍し、異なる戦績を積んできた。

エクリプス・サラブレッド・パートナーズの勝負服を背負い、2018年のG1・VRCオークスを制したピノと同じ陣営で走ったアニセットは、3歳時にG1・デルマーオークスとG1・アメリカンオークスの2つのG1タイトルを獲得。そして4歳になってからは、古馬相手にG1・ゲイムリーステークスを制する快挙を達成した。アメリカでのすべてのレースで手綱を取ったのはウンベルト・リスポリ騎手だった。

北米のG1牝馬3頭は、BCの翌週にユーロンによって購入され、オーストラリアでユーロンのボトルグリーンの勝負服を身にまとうことになる。モイラは、ファシグティプトン・ノーベンバーセールにて430万米ドル(約6億9000万円)で落札され、フルカウントフェリシアは同じセールで100万米ドル(約1億6000万円)で取引された。アニセットは、キーンランド・ノーベンバー・ブリーディングストックセールで180万米ドル(約2億9000万円)で購入された。

Anisette fetched US$1.8 million in the ring
ANISETTE / Keeneland November Breeding Stock Sale // Kentucky /// 2024 //// Photo by Keeneland Photo

ザリアは、凱旋門賞前夜に開催されたアルカナ・アルクセールにて130万ユーロ(約2億1000万円)で購入され、リバーオブスターズはタタソールズ・ディセンバー・ブリーディングストックセールで165万ギニー(約3億4000万円)で落札された。また、サクティは同じく昨年12月にニューマーケットで行われたセールで52万5000ギニー(約1億1000万円)で取引されている。

さらに、イギリスのウィリアム・ハガス調教師が管理する2頭も、オーストラリア遠征に加わる予定となっている。シドニーへの遠征経験が豊富なハガス調教師は、これまで18戦10勝という驚異的な成績をシドニーで収めてきた。

ドバイオナーは、2023年にランヴェットSとクイーンエリザベスSの2冠を達成した実績馬であり、3月29日に行われる賞金150万豪ドル(約1億5000万円)のG1・タンカードステークス(芝2400m)に出走予定。その後、再びクイーンエリザベスSを目指す可能性がある。なお、連続していない年でクイーンエリザベスSを複数回制した最後の馬は、名馬タラックである。彼は1958年に初優勝し、その後1960年と1961年に連覇を達成している。

ハガス調教師はまた、リステッド競走の勝ち馬アルムビールをドンカスターマイルに出走させる予定だ。

火曜日正午の登録締切に向け、日本調教馬も多数エントリーするとみられている。コーフィールドC勝ち馬メールドグラースの半弟でG2で2着があるシルブロン(馬主: シルクレーシング)は、稲垣幸雄調教師の管理のもと、シドニーCを目標にする見込みだ。

アンドリュー・ホーキンス、Idol Horseの国際担当。世界の競馬に対して深い情熱を持っており、5年間拠点としていた香港を含め、世界中各地で取材を行っている。これまで寄稿したメディアには、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ANZブラッドストックニュース、スカイ・レーシング・オーストラリア、ワールド・ホース・レーシングが含まれ、香港ジョッキークラブやヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)とも協力して仕事を行ってきた。

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