土曜日、カナダのトロントで日本人騎手が旋風を巻き起こした。

木村和士騎手が騎乗するフルカウントフェリシアがG1・E.P.テイラーステークスを制したのだが、意表を突く大逃げでの逃げ切り勝ち。まさにパンサラッサと吉田豊騎手を彷彿とさせる奇策を打ち、勝利を手にした。

当初、フルカウントフェリシアはニューヨークのチャド・サマーズ厩舎でキャリアをスタートさせた。ドバイゴールデンシャヒーンを2連覇し、後に日本で種牡馬入りしたマインドユアビスケッツを育てた調教師だ。

その後はメリーランドのブリタニー・ラッセル厩舎に転厩し、現在はカナダ・オンタリオの北部に厩舎を構えるケヴィン・アタード調教師が管理している。

この日、ウッドバイン競馬場で行われた約2000mのG1・E.P.テイラーSは5頭立てで行われたが、この馬は前走G2勝ちにも関わらず人気薄として見られていた。

レースが始まると、木村騎手は序盤から積極果敢に飛ばした。展開を見るとハイペースで逃げているように見えるが、時計を見ると比較的スローペース。最初の2ハロンを25.12秒、残り1600mから1200mまでの地点は23.07秒、残り1200mから800mまでは23.62秒というラップタイムを刻んで、余力を残しながら快速を飛ばした。

それでも、残り1200mを通過した時点で後続との差は20馬身以上。どの区間も2ハロンで23秒を切ることはなかったが、着々とリードを築いていった。

最後の区間は23.38秒と24.10秒、勝ち時計を1:59.29にまとめての逃げ切り勝ち。2着に入った1番人気のモイラには3馬身半を付ける快勝で、木村騎手の巧みなペースメイクが光るレースとなった。


レース後、木村騎手はコメントを求められると「彼女が楽に走れるよう、自分のペースで走れるよう心がけました。上手くいきましたね」と語った。

フルカウントフェリシアはE.P.テイラーSの勝利により、G1・ブリーダーズカップフィリー&メアターフの優先出走権を手にした。しかし、木村騎手はこのレースで中竹和也厩舎のアリスヴェリテに騎乗する予定のため、仮にデルマーに駒を進めたとしても乗り替わりとなる。

アタード調教師はレース後、この先の決定はオーナーのゴールドスクエアLLCに任せるとコメントした。

「あとは小切手にサインする人たちにお任せします。この仕事のために任されたので、今日のG1勝ちの成果を喜んでいます。繁殖牝馬としての価値に繋がる、重要なことなので。ですから、今日一日は喜んで、先のことは待とうと思います」

アンドリュー・ホーキンス、Idol Horseの国際担当。世界の競馬に対して深い情熱を持っており、5年間拠点としていた香港を含め、世界中各地で取材を行っている。これまで寄稿したメディアには、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ANZブラッドストックニュース、スカイ・レーシング・オーストラリア、ワールド・ホース・レーシングが含まれ、香港ジョッキークラブやヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)とも協力して仕事を行ってきた。

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