香港チャンピオンズデーを目前に控える中、G1・チャンピオンズマイルでの騎手人事を巡って憶測や噂が飛び交う事態となっている。
その渦中にいるのがバーレーン調教馬のゴエモンだ。ニール・カラン騎手とアルベルト・サナ騎手の起用についての憶測が、ユーチューバーやブロガー、さらには一部ジャーナリストによって取り上げられ、話題が過熱した。
香港競馬界には、ひとたび陰謀やスキャンダルの「香り」が漂えば、たちまち根拠のない噂と憶測が飛び交い、それについて議論が交わされ、スマートフォンで録画を始める者も現れるという独特の『噂文化』がある。先週金曜日、バーレーンから届いた情報がその引き金となった。ゴエモンの主戦騎手であるサナ騎手が、日曜日の香港チャンピオンズデーで騎乗しないというのだ。
これに続いて、香港の中国語メディア、特に人気サイト『レーシングキング』などが報じたのは、「香港ジョッキークラブ(HKJC)が、代役として予定されていたニール・カラン騎手の騎乗を阻止した」との主張だった。
ニューマーケットを拠点とするアイルランド出身のカラン騎手は、かつて10年にわたり香港で騎手ライセンスを保有しG1勝利も挙げ活躍していたが、2021年7月、物議を醸した騎乗停止処分とその後の減刑騒動を経てライセンスを失い、以降はバーレーンで活躍を続けている。
今週月曜日、ケンプトンパーク競馬場の駐車場でYoutuberのポール・シウ(別名ヤウ・タット)に直撃されたカラン騎手はインタビューに応じ、わだかまりがあるかもしれないことを踏まえ、ゴエモン陣営から騎乗依頼があったものの、香港ジョッキークラブの関係者から「香港での騎乗は禁止されている」と通達されたことを明かした。
カラン騎手はIdol Horseの取材に対し次のように語った。
「オーナーから騎乗を頼まれたので『いいですよ』と答えました。でもその後、『君は騎乗禁止だと言われた』と伝えられたんです」
一連の騒動を受け、香港ジョッキークラブの競馬事業担当エグゼクティブディレクターを務めるアンドリュー・ハーディング氏はIdol Horseの質問に対し、以下のように回答した。
「香港ジョッキークラブがライセンス関連の判断を下す際には、妥協なき誠実さというクラブの基本理念が常に守られています」
「カラン氏本人からも、代理人からも、現時点でビジター騎手ライセンスの申請は受理していません。なお、カラン氏は申請資格を有しています」
HKJCのライセンス委員会で審査官を務めるテリー・ベイリー裁決委員は、騎手の招致や騎手一覧を役職についている。同氏は、Idol Horseへの声明の中で次のように述べている。
「ニール・カラン氏は、ここ最近において香港での騎乗に関する申請を行っていません」
一方、アルベルト・サナ騎手の扱いについても、ベイリー氏とハーディング氏は、クラブの見解を明確にした。両名は、このイタリア人騎手との契約は5年以上前に更新しないことを決定し、現在もその立場に変更はないと説明している。
「2019年12月、サナ氏の香港での騎乗ライセンスは更新されませんでした」とハーディング氏は語る。
「その時点から、同氏の騎乗ライセンス資格に関して何ら変更はありません。この件についてはサナ氏本人にも確認済みです」
サナ騎手は香港を離れた2019年以降、カタールを拠点に中東地域で成功を収めてきた。香港を離れたタイミングHKJCとの契約満了直前だったが、ダンスウィズドラゴンに騎乗した際の油断騎乗により、10開催の騎乗停止処分(控訴により12開催から短縮)を受けている最中でもあった。
そのサナ騎手は先週、バーレーンでカリフォルニアに騎乗し現地G1勝利を収めたばかり。今週末は母国イタリアに戻り、イタリア2000ギニーにあたるパリオーリ賞でグランドコディアック、イタリア1000ギニーにあたるレジーナエレナ賞でジョルジアフォーエバーへの騎乗が控えている。
「香港でゴエモンに乗るチャンスがあるかもと思いましたが、残念ながらありませんでした。それだけの話です。今は日曜のゴエモンの健闘を祈りつつ、イタリアでの騎乗を楽しみにしています」とサナ騎手は語った。

一方で、騒動の主役であるゴエモンの陣営は、この一連の騒動から距離を置いている。Idol Horseはゴエモンを管理するハイダー・エブラヒム・シャヒーン調教師に連絡を試み、息子であり調教助手を務めるモハメド・ハイダー・エブラヒム氏から回答を得た。
「この2人(カランとサナ)はどちらも、今回のレースで我々が起用する騎手ではありません。オーナーがそう決めました」
また、香港ジョッキークラブが両騎手の香港での騎乗を『禁止』していると伝えたのかという質問には「何のことを言っているのか分かりません」と述べた。
なお、香港ジョッキークラブの競馬規則では、クラブはあらゆるライセンスについて、希望者に対しそれが騎手であれ調教師であれ、発給または発給しない権限を有する、と定められている。第8条第2項には、以下のように明記されている。
『クラブの裁決委員は、完全なる裁量権に基づき、理由を示すことなく、騎手、調教師および調教助手に対しライセンスを付与または付与しない権限を有し、また、ライセンス申請の提出手続および審査方法を定める権限を有する』