今話題のティーンエイジャー、ビリー・ロックネイン騎手はヨーロッパ競馬がオフ期間に入る冬の間、南半球のオーストラリア競馬で修行する予定だ。オーストラリアの名門厩舎を拠点として、シドニーの熾烈な争いの中で海外経験を積みたいと考えている。
18歳のロックネインは、昨年イギリスで60勝を挙げて見習い騎手チャンピオンを獲得、今年も騎手リーディング(5月から10月が対象)で45勝を挙げて5位につけている。4位のトム・マーカンド騎手とはわずか4勝差だ。
そのマーカンドもオーストラリアで有名な騎手だが、チャンピオンジョッキーのオイシン・マーフィー騎手もまた、南半球の競馬大国とは縁がある。彼も若手騎手時代、ダニー・オブライエン厩舎に所属してオーストラリアで修行を行っていた。
シドニーでロックネインを待っているのは、現王者のジェームズ・マクドナルド騎手を始め、ナッシュ・ローウィラー騎手、ジェイソン・コレット騎手、タイラー・シラー騎手、トミー・ベリー騎手、ケリン・マカヴォイ騎手、ザック・ロイド騎手、そしてレイチェル・キング騎手といった、錚々たるライバルたちだ。
ロックネインは現在イギリスで最も注目を集める若手騎手で、2024年6月のロイヤルアスコット開催では2勝を挙げた。有名なロバート・サングスター氏の勝負服を着て、大穴のラシャバーで制したG2・コヴェントリーステークスと、これもまた人気薄のソプラノで制したサンドリンガムハンデキャップの2レースだ。
「この冬は2ヶ月の間、オーストラリアに行きます。ガイ・ウォーターハウス & エイドリアン・ボット厩舎、ジョン・オシェア厩舎を拠点にする予定です。そこで様々な経験を積んで、自分自身の腕を磨きたいと思っています」
この日、サースク競馬場で2勝を挙げたロックネインは、Idol Horseの取材に対してこう答えた。
7月13日にはウォーターハウス調教師がイギリスで所有するアジアンデイズに乗って、ニューマーケットで勝利を挙げている。その際、X(Twitter)上では調教師から賛辞のコメントが寄せられていた。
世間が夏休みに入ったばかりの金曜日、ロックネインはノースヨークシャーの競馬場に大勢集まった観客からも人気を集めていた。レースの合間には、若い競馬ファンからサインを求められる姿も見られた。
この日は5レースに騎乗して、2勝と惜しい2着が2回。多くの騎乗機会で好騎乗を見せ、その人気に違わぬ実力を見せつけるような一日だった。この日の2勝はジョージ・ボーイ厩舎の馬で挙げたものだが、彼はこの厩舎と好相性として知られている。
ロックネインはアイルランド出身だが、長い間イギリスで過ごしている。父親のマーク・ロックネイン調教師は、ウスターシャーのロックファームステーブルという調教場に厩舎を構えている。
彼自身は2歳の頃に初めて競走馬に乗り、10歳で駆け足(キャンター)に挑戦。ポニー競馬にもその頃から乗っているという。
2022年10月22日に騎手デビューを果たすと、その年は6勝。初勝利はウルヴァーハンプトン競馬場、父親が管理するスイスロウという馬に乗って挙げた。その後は彗星の如く台頭し、2023年4月には冬季シーズンの『オールウェザー見習い騎手チャンピオン』を獲得。翌シーズンもこのタイトルを獲得し、連覇を達成している。
2023年の年間勝利数は130勝、今年はすでに82勝を挙げる大活躍を見せている。
これまでの海外経験は、2023年2月にアメリカ・フロリダ州で3週間調教を手伝った経験のみだが、彼のキャリアは急激な成長を見せている。
「今のところ、順調です。エージェントはトニー・ハインド氏に変わりましたが、問題なく順調に進んでいます」
明るく語る彼だが、今後の目標については短く、ハッキリとした言葉で明言する。
「いつかは、チャンピオンジョッキーになりたいです」
今のところ、この言葉に異論を唱えるものは誰もいないだろう。シドニーでの修行も、チャンピオンジョッキーへの道のりに役立つはずだ。