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2025 高松宮記念: G1 レビュー

競馬場: 中京競馬場

距離: 1200m 

総賞金: 3億6990万0000円 (246万4973米ドル)

日曜日、中京競馬場で行われたG1・高松宮記念(芝1200m)では、ジョアン・モレイラ騎手が堀宣行調教師のサトノレーヴを勝利へと導き、短期免許でのカムバック初戦から早速結果を出してみせた。

高松宮記念は、JRAで最初に行われるG1レースではない(その栄誉はフェブラリーSに属する)が、日本の春競馬の幕開けを告げ、6月中旬の宝塚記念まで続く重要なステップである。また、国内で行われる2つのスプリントG1のひとつとして、上半期における最速馬を決めるレースでもある。

今後、サトノレーヴはさらなる海外遠征に矛先を向ける可能性が高い。

レース展開

ちょうど真ん中付近の枠から好スタートを切ったサトノレーヴは序盤、前方の好位置を取ったものの、昨年の覇者マッドクールやG1・スプリンターズSを制したルガル、そして人気薄のウイングレイテストやビッグシーザーらが内を通ってハナを主張。モレイラ騎手は無理せずポジションを下げ、中団に控える形となった。

強風が吹くこの日の中京競馬場だったが、モレイラ騎手はサトノレーヴを馬群の中に潜ませることで、四方からの風をうまく遮ることに成功した。一方、逃げるビッグシーザーは全馬にチャンスがあるような絶妙なペースを演出した。

直線に向くと、ルガルが早めにプレッシャーをかけたが、抜け出す決め手を欠いたところに、白毛のアイドルホース・ソダシの妹であるママコチャが馬場の真ん中から鋭く脚を伸ばし、一気に主役の座を奪いそうな勢いを見せた。

だが、その瞬間、ママコチャの背後からサトノレーヴが鋭く伸び、さらに外からはナムラクレアも一気に迫ってきた。

残り100m地点では、今度こそナムラクレアが悲願のG1タイトルを手にするかと思われたが、モレイラ騎手の完璧な仕掛けが冴え渡り、サトノレーヴは力強く差し返して3/4馬身の差をつけてゴールを駆け抜けた。

ママコチャはトウシンマカオの追撃を凌ぎ、辛うじて3着を確保した。

Satono Reve winning the Takamatsunomiya Kinen at Chukyo
SATONO REVE, JOAO MOREIRA / G1 TAKAMATSUNOMIYA KINEN // Chukyo /// 2025 //// Photo by Shuhei Okada

勝ち馬・サトノレーヴ

サトノレーヴは今や国内屈指の安定感があるスプリンターの一頭として頭角を現しており、これまで11戦して馬券圏外に敗れたのは、昨年のスプリンターズSでルガルの後塵を拝した7着の一度だけである。

デビュー戦の1600mで初勝利を挙げたのち、1400mに一度だけ出走した以外は、すべて1200m戦に専念してきた。

昨年の夏には函館スプリントSとキーンランドCという2つのG3を制し、年末の香港スプリントでも3着に入る健闘を見せた。

6歳ながらキャリアは浅く、今後さらに上のパフォーマンスが期待できる存在である。

2着馬・ナムラクレア

ナムラクレアはこれで3年連続の2着となった。2023年はファストフォースに1馬身差、昨年はマッドクールにハナ差、そして今年は3/4馬身差と、いずれもあと一歩届かずに涙を飲んできた。

スプリンターズSでも2度の入着を果たしており、さらに2022年には同レースで僅差の5着と好走。ここまでG1勝利に手が届いていないことが不思議なほど、日本屈指の実力派スプリンターであることは間違いない。

かつてマイルのG1でも入着経験はあるものの、その際は3歳限定戦。秋のスプリンターズSまで、次なるチャンスを待つことになりそうだ。

Namura Claire finished second to Satono Reve
NAMURA CLAIRE (L), SATONO REVE / G1 TAKAMATSUNOMIYA KINEN // Chukyo /// 2025 //// Photo by Shuhei Okada

参考レース

今回のサトノレーヴの勝利は、G1・香港スプリント(シャティン・芝1200m)で3/4馬身差の3着に入った直近の好走を裏付ける形となった。

そしてそのレースで勝利したカーインライジングが、数時間後にシャティン競馬場で行われたG2・スプリントカップ(芝1200m)を制し、次走のG1・チェアマンズスプリントプライズへ向けて弾みをつけた。

この流れから、カーインライジングに連続して先着を許しているハウディープイズユアラブにも注目が集まっており、次週のG1・アルクオーツスプリント(メイダン・芝1200m)での走りが注目される。

データ

サトノレーヴは、ロードカナロア産駒として高松宮記念を制した3頭目の馬となった。これにより、2021年のダノンスマッシュ、2023年のファストフォースに続いて、その名を連ねたことになる。

ロードカナロア自身も2012年にこのレースで3着に入り、翌2013年に優勝している。このレースが“日本が誇る最強スプリンター”を讃える舞台となっているのは、まさに象徴的である。

関係者コメント

ジョアン・モレイラ騎手(サトノレーヴ・1着):
「とても優れた馬で、以前からその実力を示してきました。昨年の香港での走りも素晴らしかったですし、その時の状態を日本で再現できれば、きっとG1でも戦えると思っていました。今回このタイミングで騎乗する機会を得られたのは、まさに幸運だったと思います。そして再び日本でG1を勝つことができて、本当にうれしいです」

「堀先生からはいつも特別な指示はありません。彼は私がこの馬のことをよく知っていると理解してくれていますし、これまで何度か乗せていただいているので、その信頼が騎手としてとても心強いです。私たちは一緒にレースの予習をして、狙うべき位置を明確にしていました。そして、それがそのまま実現しました。道中は完璧なポジションを取れましたし、250mで外に出すとしっかり反応してくれました」

「馬場はフェアな状態でしたが、風がかなり強くて、多くの馬に影響が出ていました。幸いにも、私たちは風の影響を受けない位置にいたので、うまく対応できたと思います」

Joao celebrating aboard Satono Reve at Chukyo
SATONO REVE, JOAO MOREIRA / G1 TAKAMATSUNOMIYA KINEN // Chukyo /// 2025 //// Photo by Shuhei Okada

堀宣行調教師(サトノレーヴ、1着):
「こうして再び、いつも支えてくださっている里見治オーナー、そしてジョアン・モレイラ騎手と一緒にG1を勝つことができ、感無量です」

「装鞍所でもパドックでも馬は非常に落ち着いており、キャンターに移る最初の一歩もとても良かったです。その瞬間、『トレーナーとして自分の仕事はきちんと果たせた』と感じました。もちろん競馬に絶対はありませんが、あの時点で私は十分に満足していました。

「今日は『風』が最大のポイントになると思っていたので、ポジショニングについてはその点を考慮しながら話し合いました。そして直線で進路が開いた時、安心して見ていられました。彼は今日、自分の力をしっかりと出し切ってくれたと思います」

クリストフ・ルメール騎手(ナムラクレア、2着):
「彼女が勝てなかったのは残念ですが、精一杯走ってよく頑張ってくれました」

今後は?

サトノレーヴは、チェアマンズスプリントプライズでカーインライジングとの再戦を果たす可能性が高い。

一方、ナムラクレアとママコチャは、牝馬限定のヴィクトリアマイル(G1・芝1600m)での距離延長に挑戦する可能性も考えられる。

レースリプレイ: 2025 高松宮記念

アンドリュー・ホーキンス、Idol Horseの副編集長。世界の競馬に対して深い情熱を持っており、5年間拠点としていた香港を含め、世界中各地で取材を行っている。これまで寄稿したメディアには、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ANZブラッドストックニュース、スカイ・レーシング・オーストラリア、ワールド・ホース・レーシングが含まれ、香港ジョッキークラブやヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)とも協力して仕事を行ってきた。また、競馬以外の分野では、ナイン・ネットワークでオリンピック・パラリンピックのリサーチャーも務めた。

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