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木村哲也調教師は、G1・有馬記念を制した実力牝馬レガレイラの復帰を見据えており、今年の後半には海外遠征の予定も含まれる可能性がある。

「有馬記念が終わった後にちょっと脚を痛めてしまったので、ドバイに連れてくることは叶わなかったんですけれども、また今後果敢に、海外のファンの皆様にもレガレイラの走る姿を見てもらいたいなと強く願っています」

木村調教師は先週末にメイダン競馬場で行われたG1・ドバイシーマクラシックで、もう一頭のトップ牝馬であるチェルヴィニアがダノンデサイルの6着に終わったレースを振り返りながら、Idol Horseに語った。

木村調教師によると、レガレイラのオーナーであるサンデーレーシングはまだレガレイラの復帰戦を確定していないという。JRAの春のG1の選択肢は限られており、ヴィクトリアマイルや安田記念(1600m)での復帰戦となる可能性があるが、レガレイラにとっては最適距離ではない。

国内での別の選択肢としては、6月のG1・宝塚記念(2200m)も候補に入ってくることだろう。

レガレイラは昨年の今頃、まさに「待望の新星」として大きな期待を集めていた。2023年12月のG1・ホープフルステークスで牡馬相手に勝利を収め、その後のクラシック戦線で牡馬たちに再び挑戦することを決めた。そしてG1・皐月賞とG1・東京優駿に出走した。

「ホープフルステークスでの勝利は、強い競馬でした」と木村調教師は振り返る。「チェルヴィニアもいたので、牝馬の路線はそっちに任せて、チャレンジ精神で、オーナーの理解もあって、レガレイラは皐月賞とダービーを使わせてもらいました」

Regaleira winning the 2024 Arima Kinen
REGALEIRA (L), SHAHRYAR / G1 Arima Kinen // Nakayama /// 2024 //// Photo by Shuhei Okada

しかしその結果、レガレイラは皐月賞で6着、ダービーでは5着と振るわなかった。その後、秋に復帰するとG2・ローズステークスで5着、G1・女王杯でも再び5着とその勢いが止まったかのように見えた。

しかし、レガレイラは見事に復活し、G1・有馬記念で鮮やかな勝利を収めた。この勝利は、1960年の優駿牝馬(オークス)を制したスターロッチ以来、3歳牝馬による2頭目の有馬記念制覇となった。

レガレイラはファン投票で選ばれるこの昨年末のグランプリで、シャフリヤール、そして先週末のドバイシーマクラシックを制したダノンデサイル、G1・大阪杯を制したベラジオオペラを抑えての勝利となった。

その実力は世界のどこでも通用するものであり、木村調教師はイクイノックスを管理し2023年のドバイシーマクラシックで勝利に導いた経験から、これからも自らと愛馬を世界の舞台で試していきたいと考えている。

「日本の競馬が世界でのレースに参加した時に、良い走りができるっていうことで、日本の競走馬管理のレベルが世界水準に近付いているとか、それに準じているっていう部分を表現したいと。日本のホースマンの気持ちとして、そういう責任を背負ってるっていう気持ちでやっています」と木村調教師は語った。

「イクイノックスでいろいろ経験を得られた舞台で、素晴らしい経験をさせていただいたんで、またあの感動を自分自身でつかみ取りたいと思っているし、応援してくださるファンにもそれを提供したいと思っています」とも述べた。

52歳の木村調教師は、特にアメリカとイギリスで成功を収めたジョン・ゴスデン調教師を尊敬する調教師として挙げ、ゴスデン調教師の例から「調教師がクリエイティブであれば、世界のどこの国でも素晴らしい成績を収めることが出来る」ということを学んだと語った。

イクイノックスやレガレイラのような馬を調教し、その大胆な戦略でレースに臨むことは大きな注目を集めるが、木村調教師はその中で自分の最大の弱点を自覚していると言う。

「弱点はすぐ言えるんです。非常に緊張しいで、プレッシャーに弱いです」と認め、イクイノックスの時にもそのプレッシャーを感じたことを明かした。

「長所は僕は非常にとにかくラッキーマンであること。本当に恵まれていると思ってます」

レガレイラが復帰を果たし、4歳シーズンでのさらなる活躍を目指す中、しかもその先には海外での活躍も視野に入れているとなれば、このプレッシャーはこれから数ヶ月で再び高まることは間違いないだろう。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍していた。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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