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ロマンチックウォリアーは、G1・マクトゥームチャレンジラウンド1、G1・サウジカップ、G1・ドバイワールドカップといったダートの大舞台に挑むため、最大4カ月にわたる海外遠征の可能性が浮上している。7歳となった同馬はこれまで芝競走のみの実績だが、新たな挑戦に向け準備が進められている。

中東遠征の可能性が初めて話題に上ったのは今年7月初旬。ラウ氏がIdol Horseのインタビューで「ドバイやサウジアラビアでのチャンスを考えている」と語り、ロマンチックウォリアーがゴールデンシックスティを超える史上最高賞金獲得馬になる野望を明かした。

G1・マクトゥームチャレンジラウンド1は来年1月24日にメイダン競馬場で行われる予定。ロマンチックウォリアー陣営は12月8日のG1・香港カップで史上初の3連覇達成を目指した後、12月中旬にもドバイに早期出発して現地適応を図る案を検討中だ。

Danny Shum wins the 2023 Cox Plate with Romantic Warrior
DANNY SHUM / G1 Cox Plate // Moonee Valley /// 2023 //// Photo by Vince Caligiuri

中東遠征は2月22日のサウジカップ、4月5日のドバイワールドカップを目標とする3戦プランが有力視されている。こうした長期の遠征プランは、過去に南アフリカの名伯楽、マイク・デコック調教師が3カ月間にわたるドバイレーシングカーニバルで成功を収めた例に倣うものでもある。

ダニー・シャム調教師の同僚、香港のマイケル・チャン調教師は、2014年3月にリッチタペストリーでメイダン競馬場の2戦遠征を成功させ、G3を制覇。さらに2016年には、2月初旬から3月末にかけての3戦遠征で再びG3勝利を挙げた。同じく2016年、キャスパー・ファウンズ調教師もガンピットをメイダンに送り込み、G1・マクトゥームチャレンジラウンド3で2着、続くG1ドバイワールドカップでは最下位の12着に終わったものの、勇敢な挑戦を見せた。

Gun Pit and Hong Kong trainer Caspar Fownes at Meydan
GUN PIT, CASPAR FOWNES / Meydan // 2016 /// Photo by Kenneth Chan

ロマンチックウォリアーの遠征が計画通りに進めば、その期間は最大16週間に及ぶ見込み。この不在の間、香港では1月のG1・スチュワーズカップ、2月のG1・香港ゴールドカップが行われ、それぞれの勝者には合計で2600万香港ドル(約4億9500万円)が用意されている。

しかし、中東での賞金は破格だ。G1・マクトゥームチャレンジラウンド1の賞金総額は100万米ドル(約1億5000万円)。世界最高賞金レースであるG1・サウジカップは総額2000万米ドル(約30億円)を誇り、優勝賞金は1000万米ドル(約15億円)、5着でも100万米ドル(約1億5000万円)が与えられる。さらにG1・ドバイワールドカップは総賞金1200万米ドル(約18億円)で、1着には700万米ドル(約10億5000万円)が支払われる。加えて、マクトゥームチャレンジラウンド1とドバイワールドカップの両レースを制すれば、120万米ドル(約1億8000万円)のボーナスも獲得可能だ。

現在、ロマンチックウォリアーの賞金総額は1億5492万2706香港ドル(約29億8600万円)。引退したゴールデンシックスティの通算賞金との差は約1220万香港ドル(約2億3100万円)となっている。12月のG1・香港カップ(賞金総額4000万香港ドル、約7億6500万円)での優勝賞金2240万香港ドル(約4億2900万円)を手にすればゴールデンシックスティを超えることが可能だ。さらに中東遠征での成功が加われば、ロマンチックウォリアーは名実ともに歴代賞金王としてその名を刻むことになるだろう。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍していた。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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