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ダニー・シャム調教師と馬主のピーター・ラウ氏は、ロマンチックウォリアーの春のローテーションについて再考する必要に迫られている。香港ジョッキークラブ(HKJC)が検疫規則の変更を発表し、同馬が4月27日のチャンピオンズデーに香港で出走できる可能性が生まれたためだ。

これまで、ロマンチックウォリアーは2月22日のサウジカップに出走したことで、60日間の他国滞在義務に加え、帰国後2週間の検疫が必要とされていたため、同レースへの出走は不可能とされていた。しかし、今回の規則変更により、同馬はシャティン競馬場で行われるG1・クイーンエリザベス2世カップで4連覇を狙うか、同日のG1・チャンピオンズマイルに出走することが可能になった。

「状況はここ24時間で急速に変化しました。結論として、サウジアラビアで開催されたサウジCに出走した馬は、香港のチャンピオンズデーにも出走できるようになりました」と、HKJCの競馬事業責任者であるグレッグ・カーペンター氏はIdol Horseの取材に対して語った。

シャム調教師とラウ氏は、現時点ではG1・ドバイターフ(4月4日・メイダン)に全力を注いでいる。その後の選択肢として、G1・安田記念(6月8日・東京)への出走が挙がっているが、チャンピオンズデーでのレースも選択肢に入る可能性がある。

Lemaire celebrating Ascoli Piceno's win
CHRISTOPHE LEMAIRE, ASCOLI PICENO / G2 1351 Turf Sprint // King Abdulaziz Racecourse, Riyadh /// 2025 //// Photo by Shuhei Okada

「私とピーターさんの方針として、まずドバイターフでのパフォーマンスを見てから決めるつもりです」と、これについてシャム調教師は慎重な姿勢を示した。

昨年秋にも、HKJCは関連する政府機関と調整を行い、G2・バーレーンインターナショナルトロフィー(11月15日・バーレーン)に出走した馬が、香港国際競走(12月8日・シャティン)に出走できるようにした前例がある。

実際に、スピリットダンサー(同レース1着)とカリフ(同レース3着)が香港国際競走に出走し、その後サウジCデーにも参戦した。そして今回の検疫規則変更により、彼らもまた、G1・チェアマンズスプリントプライズを含む3つのG1レースが組まれるチャンピオンズデーに出走する選択肢を得た。

同様に、日本の有力牝馬アスコリピチェーノも、今回の規程変更の恩恵を受けることになる。アスコリピチェーノは、G2・1351ターフスプリント(2月22日・リヤド)を制し、次走の候補としてG1・ヴィクトリアマイル(5月18日・東京)が挙がっている。しかし、陣営が方針を変更すれば、G1・チャンピオンズマイル(4月27日・シャティン)への出走も可能になる。

今回のサウジアラビアからの検疫規則変更は、昨年のバーレーンや南アフリカにおける検疫緩和に続くものであり、競馬統括機関と政府機関が連携し、国際競馬の幅を広げる新たな一例となった。

サウジカップのような大規模な国際競走に出走した馬が、その後ドバイワールドカップデー、さらに香港のチャンピオンズデーに出走できるようになることは、世界レベルの競馬を推進するHKJCの『ワールドプール』戦略にとって非常に重要な意味を持つ。

「この変更は、短期的なメリットもありますが、最も重要なのは長期的な視点です。この障害が取り除かれたことが大きな意義を持ちます」とカーペンター氏は語った。

Idol Horseは、今回の検疫変更の詳細な期間や条件について、HKJCのケン・ラム獣医師にも取材を行った。ラム氏は、香港農業水産管理局と協議中であり、具体的な詳細については「政府当局との協議が終わった後にお知らせします」とコメントした。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍していた。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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