ゴーガンは来月初めに香港に輸入され、オリンピックステーブルに厩舎を構えるジェイミー・リチャーズ調教師の管理馬に加わる予定となっている。厳しいスケジュールを覚悟の上で、4歳クラシックシリーズを目指す方針だ。

香港ダービーの有力候補と目されるゴーガンは、水面下で激しい争奪戦が繰り広げられていた。少なくとも、香港の別の有名な調教師もオファーを出していたが、リチャーズ調教師が主導して未公開の馬主に売却されることが決まった。

「とあるオーナーに何頭か候補を提示したのですが、話は上手くまとまらず。ですが、この馬は最終的に取引が実現しました。このような馬を手に入れるのは非常に難しく、不可能に近い話です。こちらでも良い走りをしてほしいですね」

ジェイミー・リチャーズ調教師はIdol Horseの取材に対して、このように語った。

ドイツのアンドレアス・ヴェーラー厩舎に所属していたゴーガンはこれまで、ダリウスレーシングの勝負服で7戦を走っている。イタリアとドイツの2000ギニーでそれぞれ3着、8月4日にはドーヴィルのG3・ダフニ賞で2着に入った。


通常、1月下旬から始まる4歳シリーズを目指す馬は、9月下旬までに香港に輸入されるスケジュールが望ましいとされている。

9月7日には、ヨーロッパから購入した13頭のPP(出走歴のある輸入馬)が香港に到着している。この中には、香港ダービーを目指すネイヴァルフォース、アジェンダ、シャリネイ、キーパーズハートといった馬が含まれていた。また、これに先立って8月4日に輸入された10頭の中には、香港ダービー有力馬のミックリーの名前もあった。

「ゴーガンは来月、10月5日に到着予定です。あまり時間に余裕はないですが、環境に慣れて、4歳シリーズを走れるように最善を尽くします」

「今はイギリス・ニューマーケットに居ます。ドイツからニューマーケットに輸送され、今週検疫入りします。検疫中も軽い運動を行っており、香港に到着後も同様に軽い運動を続ける予定です」

ブラッドストックエージェントのスチュアート・ボウマン氏は、ゴーガンは4歳シリーズを目指せる有力馬だと調教師に薦めた人物だ。リチャーズ調教師はレース映像や成績、血統を見て、購入を決断した。

ゴーガンの父はランウェイズスタッドのスタディオブマン、現役時代にG1・仏ダービーを制した実績がある。日本の名種牡馬ディープインパクトを父に持ち、牝系を辿るとミエスクに行き着く血統だ。

「良い馬です。この馬の父も好きですね。まだ初年度世代は3歳ですが、出走馬に対するステークス勝ち馬のアベレージが優秀です。これまでの堅実な成績は、うちの厩舎のヤングアチーヴァーを彷彿とさせますね」

Hong Kong trainer Jamie Richards
JAMIE RICHARDS / Hong Kong // 2023 /// Photo by HKJC
Study Of Man wins at Chantilly
STUDY OF MAN / G1 Prix de Jockey Club // Chantilly /// 2018 //// Photo by Alan Crowhurst

リチャーズ調教師が名前を挙げたヤングアチーヴァーは、2023年のドイツ2000ギニー勝ち馬だ。ゴーガンよりもさらに遅い、9月3日にヨーロッパでの最後のレースを走り、香港移籍後も2024年1月まで調教に参加していなかった。そして、移籍後の初出走は4月となっている。

しかし、ゴーガンの場合、当面は牡馬のまま走る予定だ。一般的な香港移籍馬と違い、去勢手術の回復期間に時間を要する必要が無いという点では、いくらか有利となる。

「まだ牡馬のままです。今は去勢する時間は無いので、当面はそのままにしておきます」

香港への到着が『遅れた』馬が4歳シリーズで活躍した前例としては、アキードモフィードのケースがある。2013年、馬主のパン・スートン氏は7桁台の高額なオファーで購入したが、この馬は8月5日にアイルランドのコーク競馬場で勝ったばかりだった。これは、ゴーガンの最後のレースより一日遅い記録となる。

香港のリチャード・ギブソン調教師は、1月12日にシャティン競馬場で移籍後初出走のレースを走らせると、2ヶ月後の3戦目では香港ダービーを勝利した。

アキードモフィードは能力の高さだけでなく、落ち着いた性格でも知られていた。リチャーズ調教師もまた、ゴーガンに同様の期待を寄せている。

「見た目も整った、綺麗な馬に見えます」

「映像を見た限りですが、立ち振る舞いも良く、動きも良さそうです。すぐに環境に慣れてくれる、素直な馬であることを願っています」

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍していた。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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