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ライル・ヒューイットソン騎手は今週末のシャティンでパッキングハーモッドに騎乗する。この有望な4歳馬は今月末の香港クラシックマイルを目指しており、騎手は厳しい試練に直面しながらも、好走を期待している。

香港の最有力スプリンターのカーインライジングがクラシックマイルを回避する見込みとなり、パッキングハーモッドは現在、香港4歳シリーズの最有力候補となっている。3月下旬の香港ダービーで締めくくられるシリーズの第1戦に向かう前に、この有力馬は1400mの古馬混合クラス2でトップハンデとなる130ポンドを背負うことになる。

これこそが香港のハンデキャップの仕組みだ。台頭してきた若駒たちには逃げ場がほとんどなく、レーティングに応じたハンデを負って、最初から年上の経験豊富な馬たちと対戦することになる。

ヒューイットソン騎手はIdol Horseの取材に対し、「特に若駒にとっては、全ての馬に対してより思い斤量を背負うことになるので簡単なことではありません。ですが、これまでの実績から言えばこの馬にとってレーティングは当然のものです。好走を期待していて、勝てれば素晴らしいことですが、いずれにしても良いパフォーマンスを見せてくれると思います」と語った。

「クラシックマイルに向けて失望するような結果は避けたいので、勝利を目指します。それでも難しい状況であることを承知の上ですが、これまでと同じくらいの水準で走って好パフォーマンスを見せてくれれば、四歳シリーズで斤量が同条件になった時に期待できる要素が多いと思います」

ヒューイットソン騎手は、クラシックマイルでは自身が騎乗できない可能性があることを知っている。パートン騎手が『優先騎乗権』を持っているためだ。しかし今回、この香港のチャンピオンはジョン・サイズ厩舎のヤングチャンピオンを選択した。このような騎手の乗り替わりは、毎年このシリーズの時期によく見られる特徴で、パートン騎手のようなトップ騎手はできるだけ多くの可能性を確保しようとする。

今週日曜の12頭立てのレースには6頭の古馬が出走する。4歳馬の中には高い評価を受けて輸入された、出走済み輸入馬(PP)のヨハネスブラームスも含まれており、最軽量の120ポンドで出走する。

Johannes Brahms wins at Sha Tin
JOHANNES BRAHMS, JAMES McDONALD / Sha Tin // 2024 /// Photo by HKJC

ヨハネスブラームスはエイダン・オブライエン厩舎在籍時の2歳時に上位の成績を残した後、香港の馬主に購入され、急成長中のピエール・ン厩舎に移籍してきた馬だ。一方のパッキングハーモッドは未出走輸入馬(PPG)でフランシス・ルイ厩舎の管理馬である。ルイ調教師は現役のチャンピオントレーナーで、同じくPPGだった名馬ゴールデンシックスティを4歳シリーズ完全制覇へと導き、その後も活躍させた人物だ。

「4歳シリーズにはPPGの方が好ましいです。質の良いPPGであれば、PPよりも4歳戦に向けた準備時間を多く取ることができます。パッキングハーモッドは良い候補です。というのも、毎回の出走で私を驚かせてくれるからです。ハッピーバレーからシャティン、距離の延長、昇級と、これまでのところすべてをこなしています」とルイ調教師は語った。

パッキングハーモッドの現在のレーティングは93である。昨年6月にPPGの基準レーティングである52からスタートし、パートン騎手とともにシーズン終盤のレースでクラス4とクラス3を勝利。今シーズンはレーティング74からスタートし、3戦2勝1着外を記録してハンデを上げてきた。前走の12月初めの香港国際競走デーでは、招待騎手のモレイラ騎手が騎乗し勝利を収めた。

ヒューイットソン騎手は2走前に実戦での騎乗機会を得て2着に入ったが、この馬の調教での騎乗を多く任されており、緊密な関係を築いている。

ヒューイットソン騎手は「この馬には常に質の高さがあり、まだ改善の余地があると思います」と語った。「初日から私はこの馬に乗りたいと思っていましたが、もちろんパートン騎手が騎乗権を持っていました。初陣の時には自信を持って勝てると確信していましたし、その日は未熟さのために最終コーナーで少し苦労したように見えましたが、走るたびに良くなってきています」

「初戦前から、調教やトライアルでの騎乗を通じて、フランシス調教師と話し合い、この馬は4歳シリーズに向かう馬だと感じていました。馬体の動きからも初日からその能力を見せてくれました。ただ、精神的にタフに、体力的にも強くなるためにはレースを重ねる必要があると感じていましたし、それは今でもそう思っています」

Packing Hermod and Zac Purton
PACKING HERMOD, ZAC PURTON / Sha Tin // 2024 /// Photo by HKJC

パッキングハーモッドはスピード血統のオーストラリア種牡馬、ルービックの産駒だが、騎手も調教師も1月31日のマイルへの延長については懸念していない。また騎手はダービーの2000mについても特に心配していない。

「この馬の多才さが強みです。1200mでは先行して勝ち、1400mでは中団から外を回って勝っています。この戦術面での柔軟性は大きな強みですし、必要な時にスピードを使えることと、同時にリラックスして走れることも魅力です」とヒューイットソン騎手は語った。

「クラシックカップとダービーについては、現時点では適距離が分かりませんが、四歳馬の場合、必ずしも2000mの馬である必要はありません。マイル適性が高ければ、それで十分なはずです。マイルは問題なくこなせると思いますし、そこからはフランシス調教師が判断することになるでしょう」

一方で、このレースカードには珍しく4歳馬限定のクラス3ハンデキャップが組まれており、レーティングの低い四歳馬たちが年上馬と対戦することなくレーティングを上げ、クラシックマイルへの出走権を得る機会が提供される。このレースには、もう一頭の注目のPPであるロイヤルアスコット勝ち馬のミックリーが出走し、前走の不運な敗戦の巻き返しを図る。

Mickley and Hugh Bowman
MICKLEY, HUGH BOWMAN / Sha Tin // 2024 /// Photo by HKJC

ミックリーは香港デビュー時にレーティング76を付けられ、3戦を通じてさらなる上積みが期待される中で83まで上げてきた。初戦は4着、その後に印象的な勝利を収め、そして元旦の14頭立てで12着という結果を残している。マークウィン、ストームライダー、ステップスアヘッドといった馬たちと共に、クラシックマイル出走権確保を目指して135ポンドを背負って走ることになる。

ステップスアヘッドもルイ厩舎の管理馬だが、現時点でパッキングハーモッドが厩舎の四歳馬のナンバーワンであることは間違いない。今週日曜のレース後もクラシックシリーズでの最有力馬の地位を維持できるかは分からないが、これまでのところクラシックマイル候補馬として必要な厳しいハンデキャップの舞台をうまく乗り切っている。

ヒューイットソン騎手は「まだどこまで伸びしろがあるのか、どれだけ良くなれるのかは分かりませんが、この馬には資質があり、今後レースを重ねることでさらに強くなっていくと思います」と付け加えた。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍していた。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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