2024 ヴィクトリアマイル: G1レビュー
競馬場:東京競馬場
距離:芝1600m
賞金総額:2億8180万円(約199万米ドル)
混戦ムードと言われていたレースで、単勝108倍のテンハッピーローズが波乱を巻き起こした。ベテランの津村明秀騎手にとってはこれがG1初制覇であった。
高柳大輔厩舎の6歳馬、テンハッピーローズはこれまでビッグレースでの勝利は疎か、重賞でも入着したことがない馬だった。JRAのG1レースではコパノリッキーが単勝272倍で勝った2014年のフェブラリーSに次ぐ、高配当の結末となった。
もし、事前にこのオッズを知らされてなければ、大波乱が起きた大荒れのレースには到底見えないだろう。
津村騎手とテンハッピーローズはスタートを綺麗に決めると、先行争いを避けて控えて、前の集団を見ながら動きやすい中団の好位置を確保した。直線に入ると鞍上の期待に応えるような伸びを見せ、先に抜け出したフィアスプライドを捕らえて1着になった。
2024 ヴィクトリアマイル: レース映像
敗れた人気馬
単勝オッズが1桁台なのは2頭のみで人気を分け合うような形だったが、このどちらかを本命にした人にとっても、この結果は散々だったであろう。
マスクトディーヴァは「不運」という言葉に尽きる結果だった。ジョアン・モレイラ騎手は勝負所で前が壁となり、内に進路を見つけて追い上げるも3着止まりだった。

2番人気のナミュールはドバイターフで2着に入った後の帰国初戦だったが、疲労でも溜まっていたのだろうか?スタートに出遅れて後方2番手に付けたが、伸びは見られず8着に終わった。
今後に注目
マスクトディーヴァは明らかに将来有望な馬なので、海外遠征の機会があるならば注目すべき馬だろう。同様に、今回は4着だったドゥアイズもアジア圏の海外遠征でチャンスがある馬かもしれない。
しかし、全体的なレベルで言うと、特に強力なメンバーが集まったレースというわけではなさそうだ。
嬉しい出来事
このレースは、津村騎手がキャリア21年目にして初めてG1を勝ったレースとして、ファンの記憶に残り続けるでしょう。この日は最終レースの後、東京競馬場のパドックで勝利ジョッキーの津村騎手を招待してイベントが行われたが、大勢の競馬ファンに暖かく迎え入れられた。

高柳大輔調教師にとっても、これが芝のG1初勝利だった。前回のJRAでのG1勝利は、ダートの怪物・テーオーケインズで勝った2021年のチャンピオンズカップだった。
怪物級の配当
この日の東京競馬場でメインレースの馬券を当てた人がごく少数だったのは間違いない。しかし、テンハッピーローズ、そして津村騎手には、多くの観客から温かい拍手が送られていた。
このレースは165億円以上(1億6000万ドル以上)の馬券売上を誇るレースだが、内馬場のスクリーンに配当が映し出されると「おお!」「ああー!」といった声があちこちから上がっていた。
三連単を当てた人は、大荒れにも関わらず91万6640円という配当であることにガッカリしたかもしれない。1着馬は208倍、2着馬は12倍、1番人気は3着に敗れたのにも関わらず、意外とこの組み合わせは買われていた。…もしかして、プロの馬券師が大量購入していたのかも?