優駿牝馬(オークス): G1レビュー
競馬場:東京競馬場
距離:芝2400m
賞金総額:6億4800万円(約459万6000米ドル)
クリストフ・ルメール騎手と木村哲也調教師の「チーム・イクイノックス」が、オークス馬のチェルヴィニアという新たなスーパースターを世に送り込んだ。
ありとあらゆる偉業を達成したイクイノックスに続く馬になるのは至難の業かもしれない。しかし、チェルヴィニアが見せたあの粘り強い走りは、日本や世界のビッグレースで輝く存在になる未来を予見させる。
感動のさなかにいたルメール騎手は、先月に阪神競馬場での落馬事故で帰らぬ人となったかつてのライバル・藤岡康太騎手を追悼して、レース後に天を指出した。
ルメール騎手にとってはドバイワールドカップデーの落馬事故以来、復帰後初めてのG1勝利だった。そして、アスコリピチェーノでのNHKマイルカップ2着、フィアスプライドでのヴィクトリアマイル2着と2週連続でG1・2着が続いていた中での勝利でもあり、まさに鬱憤を晴らす会心の競馬でもあった。
単勝216倍のショウナンマヌエラに騎乗した岩田康誠騎手がレースを引っ張り、185倍のヴィントシュティレに騎乗した北村宏司騎手がそれに追従。2頭がかなりのハイペースで引っ張る展開となった。
有力馬は中団の後方に集まる形となったが、ミルコ・デムーロ騎手のタガノエルピーダはメイングループの前方、3番手付近という厄介な位置を取っていた。
有力馬の2頭は、東京競馬場の長い直線コースに入ると別々の進路を選んだ。桜花賞馬ステレンボッシュの戸崎圭太騎手はそのままインへ、2番人気でルメール騎手のチェルヴィニアは進路がクリアなアウトコースへと振った。
どちらも勝利に値する走りだったが、チェルヴィニアの方が良い伸びを見せ、ステイヤーとしてはこちらの方が優秀であることを証明した。前走の桜花賞では、前に馬を置けず終始外側を回る厳しい展開で着外に終わるも、ムルザバエフ騎手から乗り代わった今回は逆転となった。
2024 優駿牝馬(オークス): レース映像
血統
輸入種牡馬のハービンジャーは年々ランクを下げており、生産牧場からの人気は高くない。錚々たる種牡馬が集まる社台スタリオンステーションの中では、その実力を見逃されて過小評価されている一頭かもしれない。
チェルヴィニアの父のハービンジャーにとってこれまでで最も種付け頭数が少ない世代から生まれてきた産駒だが、母は2016年のオークスで2着に入ったチェッキーノである。
統計
ルメール騎手にとってはこれが51回目のJRA・G1勝利。オークスはソウルスターリング(2017年)、アーモンドアイ(2018年)、スターズオンアース(2022年)に次ぐ4回目の勝利であり、現役の騎手としては最多記録となる。

勝利コメント
ルメール騎手「ただいま! 今日はもちろんすごくうれしく思います。前走での彼女の競馬はあまり良くなかったですが、彼女のポテンシャルは高いと思って、自信を持って乗りました。直線はすごく良い脚で伸びてくれて、本当のチェルヴィニアを見せてくれました。」