キャスパー・ファウンズ調教師がデビュー前のジャスティファイングへの期待を控えめに見積もっていたとしたら、シャティン競馬場で炸裂したこの3歳馬の走りは、いい意味で期待を裏切るものだった。
オーストラリアでのバリアトライアル、香港での2度のトライアルでそれぞれ圧巻の走りを披露したジャスティファイングは日曜日、単勝2.6倍の人気を背負ってデビュー戦のゲートに入った。
しかし、レースが始まるとそのオッズすらも『美味しい』と思えるようなパフォーマンスを披露することになる。ルーク・フェラリス騎手のアクションに応え、13頭のライバルを圧倒。今シーズンのシャティン直線1000mコースでの最速タイムを叩き出した。
Smashed 'em! 🔥
— HKJC Racing (@HKJC_Racing) March 2, 2025
Justify gelding Justifying wins comfortably on debut at Sha Tin with @LukeFerraris and Caspar Fownes… #LoveRacing | #HKracing pic.twitter.com/Osvhnp29u8
「本当にいい馬です。間違いなく、時がたてばさらに良くなるでしょう」とファウンズ調教師は快勝後、Idol Horseの取材に対して語った。
ジャスティファイングは内側の4番枠から外ラチ沿いに寄せて先行するという、難しいオーダーの競馬を決行したが、鞍上のフェラリスの導き通りに800m地点で先頭に立つ素直さを見せる。
その後は完全な独走態勢に入り、ゴール前ではフェラリスが手綱を抑える余裕の走りを披露。勝ち時計は55.67秒を記録し、衝撃のデビューを飾った。
参考までに、今シーズンのシャティン競馬場で行われた2つのG3・1000m戦は、ビューティーウェイヴスが55.72秒、ハウディープイズユアラブが56.16秒で勝利している。いずれも香港の短距離界を代表する実力馬であり、現在のレーティングはそれぞれ102と116だ。
「この馬はとても扱いやすく、スピード能力を十分に見せているし、本当に楽しみな存在です。肩の作りが素晴らしく、後肢もしっかりしています。胴がすっきりしていて現在の馬体重は1060ポンド(約480kg)ですが、1100ポンド(約500kg)を超えてくれば、さらに大きな可能性が見えてくると思います」

ジャスティファイングは『PPG(未出走輸入馬)』として香港に移籍したが、そのスピード溢れる出足の速さは、ファウンズ調教師の友人であり競馬アナリストのジョシュ・マクロクラン氏によって見出されていた。
2歳になったこの馬は2023年のイングリス・レディトゥレースセールに上場されたものの、希望価格の100,000豪ドル(約960万円)には届かず主取りに。その後、オーストラリアのヴィンセント・ノーラン厩舎の一員として出走した1000mのバリアトライアルでは圧倒的な走りを見せ、それがマクロクランを通じてファウンズの元に伝わった。
「私の親しい友人がトライアルやジャンプアウトの分析を専門にしていて、この馬にすぐ目をつけたんです」とファウンズ調教師は語る。「彼はとても優れた目を持っていて『一度見てみるべきだ』と勧めてくれました。実際に見た瞬間『これはいい!』と即決でしたよ」
「通常はデビュー前にもう少し試すのですが、彼はすぐにレースに向かえる状態に見えましたから、トライアルは2本だけにしました。初戦から勝ち切ってくれるのは本当に嬉しいことですし、当然ハンデも課されますが、今後の成長に期待したいですね」
その予想通り、ジャスティファイングはHKJCのハンデキャッパーから11ポンド増の評価見直しを受け、クラス3へ昇級。レーティングの数字は63に引き上げられた。
なお、今回のデビュー戦では『舌縛り』を行っていた。ファウンズ調教師は「少し助けになるように装着しました」と説明し「この馬は来シーズンを重視して育てていくつもりです」と長期的な成長を視野に入れていることを明かした。
したがって、今シーズンはあまり多くのレースに出走しない可能性があるが、来シーズンには短距離路線で無視できない存在となるかもしれない。
今後の展望: シャティンのコーナーをこなせるかどうかは未知数だが、その素質の高さは本物。順調に成長すれば、3桁台のレーティングに到達するポテンシャルを秘めている