ヨハネスは今週末のブリーダーズカップ制覇に向けたカリフォルニア最大の希望とも言える。しかしこの馬にとってデルマーが長らく目標とされてきた一方で、もう一つの『世界選手権』と称される香港国際競走へのノミネートにより、12月のシャティンも現実的な選択肢となっている。
北米からの参戦馬は香港の年末のG1ではそう一般的ではないが、この4歳馬は、同地域からノミネートされた15頭の一頭だ。同じくBCに出走予定のゴールドフェニックス、ハングザムーン、フルカウントフェリシア、ウィンフォーザマネー、ファーブリッジ、コグバーン、ハワードウォロウィッツ、そしてビッグインベージョンも含まれている。
「私たちの今年の目標はブリーダーズカップで競うことでした」とヨハネスのティム・ヤクティーン調教師はIdol Horseに語る。「ただ、香港マイルのオプションも開けておきたいですね。約5週間と少し間隔が短いですが、土曜日のレース後の状態次第ですね。もし彼がそれをやり遂げられれば素晴らしい功績となるでしょうし、鞍上もあちらのコースをよく知っていますから」
その『パイロット』であるウンベルト・リスポリ騎手は、2019年12月にカリフォルニアに移るまで香港で専属騎手を務めており、BCマイルを無事に終えることを前提に、ヨハネスの香港遠征に意欲的である。
「そうなることを願っています!香港に行けるように願掛けしてまいす。どうなるか、様子を見たいですね」とリスポリは語る。
「ヨハネスはあのような大レースにノミネートされる価値があると思いますし、香港でも十分に通用すると思います。あそこ競馬は彼にとても合うはずです。もちろん、右回りというのが未知数ですが、本当に良い馬は自分から適応できるものです。でも、これはチームとジョーが決めることです。ティムとジョーには敬意を払わなければなりません。彼らは本当に忍耐強く彼を育ててきましたから」

ここでの『ジョー』とは馬主のジョー・マクロスキー氏のことで、妻のデビー氏とともに、彼らの最初の所有馬である5万ドルの牝馬、カヤシーからヨハネスを生産した。オーナー夫妻はソラナビーチに住んでおり、今週ヨハネスが滞在しているデルマー競馬場の厩舎地区から、文字通り目と鼻の先の距離にある。彼らは約10年前にここに移り住むまで、競馬についてほとんど知識がなかった。
ヤクティーンは「デルマー開催のBCに出走することが彼らの夢でした。そして実際に馬を生産し、その夢を叶えられるというのは、宝くじに当たるようなものです」と語る。
「オーナーは私たちに適切な管理を任せ、このような結果につながるための機会を与えてくれました」
ヨハネスのBCマイルに向けての道のりは、今年4月のサンタアニタでのG3勝利から始まった。その後、5月下旬に同競馬場でのG1・シューメーカーマイルで印象的な勝利を収め、2ヶ月後にはデルマー競馬場に初めて遠征してG2・エディーリードを制覇。そして9月28日、再びサンタアニタでG2・シティーオブホープマイルを勝利し、大一番への準備を整えた。
「今年の彼の戦績は完璧で、本当に良い状態です」とヤクティーン調教師は語る。「どのような臨戦過程にするか大まかな計画があり、幸いにもその通りに進んでいます。これが今年最大のテストとなるでしょう」

ヨハネスは2歳時、ダートでキャリアをスタートし3連敗を喫したが、2022年の大晦日に芝に転向したことが転機となった。この黒鹿毛は9馬身差で好敵手を打ち負かし、以降は芝に専念して7戦6勝の成績を収めている。
彼の戦績において唯一の汚点は2023年6月、ヤクティーン調教師が州外のチャーチルダウンズ競馬場で開催されたG2・アメリカンターフステークスに送り出した時だった。ヨハネスは不利を受けて5着に終わり、骨挫傷により今季初めまで休養を余儀なくされた。
「今年はBCで最高の状態に持っていけるよう、慎重に戦線を組み立てました。彼の戦歴を見れば分かる通り、全て地元のレースで、全て間隔を空けた過程です。それによって最高の状態に持っていけるのです」
今や、その最高の状態が、ヨーロッパからのノータブルスピーチ、ポータフォーチュナ、ラマチュエル、日本のジオグリフとテンハッピーローズ、そして東部からのカールスパークラーのような馬たちを退けるのに十分かどうかを見極める段階である。
「彼は確実に、もう少し力を付ける必要があります」とリスポリ騎手は語る。「このレースで彼がどれだけ優れているか証明できます。勝つにせよ、半馬身や1馬身差で負けるにせよ、世界のトップクラスのマイラーと戦うことで彼の位置づけが分かるはずです」
一般的に、南カリフォルニアのコースと相性が良い成績は、東部のそれと比べて半ランク程度劣るというのが大方の見方だが、トレーナーは異なる見解を持っている。
「それは一般的な見方ですが、その認識は変わり得ます。彼が結果を出せば、この成績に対する見方も変わることになるでしょう」
調教師がそう語る間、厩舎の通路を少し進んだところで、ヨハネスの端正な頭が馬房の扉の上から覗いていた。
「彼は整った顔立ちをしていて、一人でいるのが好きでニンジンが大好きです。とても素直で、言うことをよく聞く馬です」

このような特徴は、レース時の鞍上の仕事をより容易にする。
「才能がある馬で、どう乗っても対応できます」とこのイタリア人エースは語る。「ペースが遅ければ前につけられますし、速ければ中団後方あたりにつけられます。でも彼は好位から追走できる馬で、どんなペースにも対応できます。このレースでは相手をリスペクトする必要がありますが、彼は良い状態で、良い馬体で、はつらつとしていて、幸せそうに見えます。彼は私にとって生涯最高の一頭になるでしょう」とリスポリ騎手は付け加えた。
ヤクティーン調教師にとってもそうかもしれない。そして調教師とマクロスキー夫妻は、すでに来年の計画を考えている。
ヤクティーン調教師は「来年のローテーションは今年とは少し違うものになると思います。より『賞金重視』の展開になるでしょう。もう少し世界進出するかもしれません」と語った。
それは12月の香港の可能性に加えて、3月のドバイも視野に入れることを示唆している。しかし、まずは『地元開催』のBCだ。そして土曜日のデルマー競馬場での勝利こそが、何よりの成果となるだろう。