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ウンベルト・リスポリ騎手は、連覇を目指す8月17日のG1・デルマーオークスで、東海岸から遠征してきた騎乗馬に期待を寄せている。一方、今秋のブリーダーズカップでは、西海岸が誇るスター2頭に夢を託すようだ。

イタリア出身のリスポリは、昨年のデルマーオークスではイギリスからの移籍馬だったアニゼットを勝利に導いている。カリフォルニアを代表するマイラーのヨハネスと共に、リスポリをブリーダーズカップ優勝に導くかもしれない存在だ。今年のBCは11月初旬にデルマーで開催される。

しかし、その前にまずはデルマーオークス連覇が目標となる。今年はアルノー・デラクール厩舎のウィスキーディシジョンとコンビを組む予定だ。

ウィスキーディシジョンは前走のデラウェアパーク競馬場で行われたクリスティアナステークスを含め、これまで4戦3勝という戦績を残している。リスポリはテン乗りとなるが、レナード・パウエル厩舎に滞在中の彼女を見かけたという。

「アニゼットと同じ厩舎にいるので、先日の朝に会いました。好馬体の牝馬で、エージェントのマット・ナカタニさん曰く、このレースに出るだけの実力を持っている馬だそうです。格も充分なので、おそらく人気馬の一角になるでしょう」

Idol Horseの取材に対して、リスポリはこの馬への期待を語ってくれた。

「アルノー・デラクール調教師は、この馬がお気に入りだそうです。G1でのブラックタイプを狙って遠征してきたのでしょう。東海岸ではチャド・ブラウン調教師のように優秀な牝馬を擁するライバルが数多くいますが、西海岸なら少頭数で賞金30万ドルを超えるG1があります。それだけで遠征する理由になります」

Arnaud Delacour
ARNAUD DELACOUR / Pimlico // Photo by Horsephotos

「この馬なら、連覇のチャンスはあるのではと思っています」

このレースに集まった8頭の3歳牝馬の中には、先日デルマーで行われたG2・サンクレメンテハンデキャップを制した3戦無敗のアイスクリームユースクリームや、キーンランドのG2を勝ったブークーも含まれる。

「カリフォルニアで一番強いのはアイスクリームユースクリームですし、東海岸のブークーも同様に良い牝馬だと思います。ですが、今年の3歳牝馬路線は混戦模様です」

以前は香港でも騎乗していたリスポリは、先週末に5勝を挙げた勢いそのままにデルマーオークスに臨む。その中には、パウエル厩舎のアニゼットで勝ったG2・イエローリボンハンデキャップも含まれている。

アニゼットは、サンタアニタのG1・ロデオドライブステークスを前哨戦に使い、G1・BCフィリー&メアターフに向かう可能性がある。また、G2・ジョンC.マカビーステークスを使う可能性もある。

「目標はブリーダーズカップです。今年はデルマー開催なのも大きいです。昨年、馬主のエクリプス・サラブレッズはまだ3歳なので見送る方針を示し、休養を挟んでからアメリカンオークスを使って勝ちました」

「小柄な牝馬なので、馬体重を増やすために数ヶ月間の放牧が必要でした。今年はBCフィリー&メアターフを狙いにいけます」

「彼女はデルマーがお気に入りのようです。サンタアニタからデルマーに来る度、毛艶が良くなるんです。調教でもよく走っています。前走は斤量が厳しかったですし、展開も思い通りではありませんでした。スタートに出遅れ、後方からの競馬を強いられましたが、きっちり仕事を果たしてくれました」

リスポリがブリーダーズカップで期待するもう一頭、南カリフォルニアのヨハネスは9月末にサンタアニタで行われる、G2・シティオブホープステークスをターゲットにしている。

「BCマイルを狙える馬です。オーナーはデルマーマイルをパスして、優先出走権を得られるシティオブホープを使ってきました。1ヶ月間隔で使った方が良い馬なので、オーナーが欲張りなわけじゃありませんよ」

ティム・ヤクティーン厩舎の4歳馬のヨハネスは、2走前にサンタアニタのG1・シューメーカーマイルステークスを制し、前走はG2・エディリードステークスを勝っている。鞍上はどちらもリスポリだ。

JOHANNES / G1 Shoemaker Mile // Santa Anita Park /// 2024

「末脚が素晴らしい、とても良い馬です。これほどの馬に乗ったのは久しぶりです。クオリティ、パワー、そして格、どれをとっても素晴らしいです」

「ブリーダーズカップでは1マイルへの距離短縮となりますが、確かな末脚を持っているので、むしろそっちの方が良いと思います。大きな期待を寄せていますが、マイル戦ではヨーロッパの強豪も相手になってきます」

東海岸、ヨーロッパ、そして日本から遠征馬が来るという点は、アニゼットにとっても気になる要素だ。

「難しいところですが、その日が来ればどれほど優れた馬なのか分かります。彼女が100%の仕上がりであれば、結果に言い訳はできません。ワールドクラスのタフな牝馬たちと対戦して、どれだけ実力を出し切れるかが鍵です」

「ヨーロッパ、日本、東海岸から馬が集まるブリーダーズカップは弱い舞台ではありません。いつも素晴らしい馬が出てきます。東海岸への遠征経験は無い馬ですが、東海岸の強豪とも顔合わせすることになります」

まずはその前に、リスポリはデルマーオークスを迎えることになる。そこでは、東海岸の強豪が味方してくれるだろう。

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍していた。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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