8月4日の午前5時40分、ドゥレッツァは無事に、英国・ベッドフォードロッジステーブルのチャーリー・フェローズ厩舎に到着した。
昨年の菊花賞を制したこの馬は、8月21日にヨーク競馬場で行われるG1・インターナショナルステークスに出走する予定だ。イギリス到着後も順調で、関係者からは安堵の声が聞こえた。
尾関知人厩舎の4歳馬・ドゥレッツァは、ヨークの伝統の10ハロン戦で日本馬初の勝利を目指している。2003年にはゼンノロブロイがエレクトロキューショニストの2着、2019年にはシュヴァルグランが8着という結果を残している。
「ドゥレッツァは無事に到着しました。落ち着きがあって、食欲もあります。とても元気です」
今回の遠征に携わっている、ノーザンファーム国際部門の齋友祐氏が馬の状態について説明してくれた。
「まだ本格的な運動を始めたわけではなく、今朝は歩かせただけです。とても状態は良さそうですし、広い馬房で快適に過ごしているようです」
サイはかつてこの調教場に厩舎を構えていたルカ・クマーニ調教師の下で働いており、ベッドフォードロッジステーブルの施設を知り尽くしている。Idol Horseの取材に対しても、充実した施設について語ってくれた。
「2014年から2015年の間、2年ほどここにいましたが、素晴らしい設備が整っています」
美浦の尾関厩舎から帯同しているのは、厩務員兼調教助手の矢原洋一元騎手だ。ドゥレッツァの担当助手として、彼の習性や性格をよく知っている。
「矢原さん曰く、ドゥレッツァは賢い馬だそうです。良い意味で賢いところもあれば、憎めない性格な一面もちょっとあります。周りをよく見て、観察し、状況を理解しようとする賢い馬です」
ドゥレッツァは、昨年10月に行われたG1・菊花賞を3馬身半差で制し、5連勝(6戦目)でクラシックホースの仲間入りを果たした。日本ダービー馬のタスティエーラを2着、皐月賞馬のソールオリエンスを3着に従えての勝利だった。

今年は2回出走し、3月のG2・金鯱賞では強豪のプログノーシスに次ぐ2着に入った。4月下旬、3200mのG1・天皇賞春にも出走したが、ここでは17頭立ての15着と残念な結果に終わっている。
尾関調教師は8月14日の午後にイギリスに到着し、インターナショナルステークスに向けての最終追い切りを視察する予定だ。また、レースの1週間前にはヨーク競馬場を訪れ、競馬場と厩舎施設を自らチェックする。
尾関調教師はこれまでに、G1・香港ヴァーズを2勝したグローリーヴェイズや、G1・スプリンターズステークス連覇のレッドファルクスを手がけてきたことで知られている。

なお、ドゥレッツァの鞍上には、クリストフ・ルメール騎手が起用される予定だ。ドバイターフでの落馬事故の影響で前走の天皇賞春は乗れなかったが、コンビ再結成となる。
ルメールはこの馬とコンビを組んだ5レースのうち、菊花賞を含めて3勝を挙げている。