Aa Aa Aa

ロイヤルランドウィック競馬場の優勝した馬主のみが招かれる一室では、カーインライジングのジ・エベレスト制覇後、ドン・ペリニヨンが途切れなく注がれていた。労い合う歓喜のムードの中、デヴィッド・ヘイズ調教師と馬主のレオン・シェク・コン(梁錫光)氏は、はっきりと明言した。

「また、ここに戻ってきます」

オーストラリアンターフクラブ(ATC)のネヴェシュ・ラムダニ氏がスイートルームの扉を閉め、満員の観衆の喧騒が消えると、レオン氏の陣営一行は、数名の香港ジョッキークラブ(HKJC)職員、ヘイズ夫妻、そしてニコール・パートン夫人とともに、シャンパンのグラスを手に取り、リプレイを繰り返し映している二つの大型スクリーンへと視線を向けた。

部屋に集まった関係者からは、一斉に安堵のため息が漏れる。前人未踏の海外遠征をやり遂げた当事者たちは、それが現実だとはなかなか信じられない様子だった。

ATCのティム・ヘイル会長とタブコープのギロン・マクラクランCEOから祝福の言葉が送られた後、スピーチのバトンはレオン氏に渡された。

HKJCのウインフリート・エンゲルブレヒト=ブレスゲスCEOが「香港競馬最大級の支援者」と呼ぶレオン氏は、普段は脚光を浴びることを恐れず、カラフルなスーツを身に纏い、ウィニングランの写真で常に最前列に立つ姿が見られる。

しかし、マイクの前に立ったレオン氏は、感極まっていた。

「香港ジョッキークラブのあらゆる面でのサポートに感謝しています。本当に、本当に感動しています」と述べると、彼は感極まって一瞬言葉に詰まり、マイクから離れざるを得なかった。

「ヘイズのチームにも感謝したいと思います。彼らはこのレースのために、1ヶ月間シドニーに派遣され、カーインライジングを万全の状態に仕上げてくれました。調教とカーインライジングの世話で素晴らしい仕事をしてくれました」

「ザック(パートン騎手)の素晴らしい騎乗、非常に良いスタートと驚異的なテクニックに感謝します。香港のすべてのファンの皆様のサポートにも感謝します」

KA YING RISING CELEBRATION / G1 The Everest // Randwick Racecourse /// 2025 //// Photo by Idol Horse

ヘイズ師が来年のレースについて語り始めるのに、それほど時間はかからなかった。

レース直後にブックメーカーを「お馬鹿さん」と冗談交じりに呼び、カーインライジングに単勝2倍のオッズを提示したことに言及していたヘイズ師だが、表彰式の後、地元ファンとの自撮りにジ・エベレストのトロフィーを持って喜んで応じていた。

片手にジムビームバーボンコーラの缶、もう片手にカーインライジングの旗を持った若者グループとの写真撮影の後、ヘイズ師が口元に手を当てて「また来年会いましょう」と大声で叫ぶと、ファンからは盛大な歓声が上がった。

優勝馬主室の閉ざされた扉の内側で、彼は一瞬立ち止まり、表彰用の化粧箱に収められたジ・エベレストのトロフィーをじっと見つめた。ヘイズ厩舎のチーム全員が成し遂げたことへの実感が湧いてきたようだった。

マイクの前に立ったヘイズ師は、「感謝すべき人があまりにも多くいます」と切り出した。

「私には素晴らしいスタッフがいます。あのTwitterの騒動が起きたとき、スタッフにかかっていたプレッシャーは相当なものでした。幸いと言うべきか、彼らはあまり英語を読みませんが、それでも彼らは素晴らしい仕事をしてくれました」

「もちろん、悲観的だった “ザッキー” パートンもいます。彼は誰よりも多くの人気馬に乗り、仕事をやり遂げてくれます」

ヘイズ師はHKJCとATCに感謝の意を述べた後、先週X(旧Twitter)上でカーインライジングのデマが広まった騒動以降、自身がXに少しハマってしまったと明かした。それまでは使い方を知らなかったものの、妻のプルーさんから使い方を教わったという。

「この10日間、私に付き合ってくれた妻のように、多くの人に感謝を伝え忘れていると思います」と、ヘイズ師はユーモアを交えながら語った。

「妻が私にTwitterの使い方を教えたのですが、教えてくれなければ良かったと思っています。呟いているわけではなくフォロワーとしてですが、今やすっかり中毒になってしまいました」

そして、レオン氏と同じように、2026年のジ・エベレストを見据えたスピーチを締めくくった。ヘイズ師は、今後すべてが順調に進めば、同じローテーションで臨む可能性が高いと言及した。

より直近の動向としては、カーインライジングは火曜日に香港へ戻り、11月4日までシャティン競馬場の検疫厩舎に滞在する予定だ。

5歳馬のカーインライジングは、12月の香港スプリントで連覇が懸かる一戦に挑み、その後は昨シーズンと同じローテを歩む可能性が高い。具体的には、1月のセンテナリースプリントカップ、2月のクイーンシルバージュビリーカップ(1400m)、そして4月のG1・チェアマンズスプリントプライズだ。

香港競馬にとって記念すべき一日となったこの日の終え、エンゲルブレヒト=ブレスゲス氏は大成功で幕を下ろしたシドニー遠征をこのように振り返った。

「彼はまさにグローバルなチャンピオンですし、観衆が『グローバルなチャンピオンを見ている』と認めてあのように迎えてくれた、この光景は素晴らしかったと思います」

「ワールドクラスの競馬を提供すれば、競馬は真のグローバルなスポーツにできることです」

ジャック・ダウリング、Idol Horseの競馬ジャーナリスト。2012年、グッドウッド競馬場で行われたサセックスステークスでフランケルが圧勝する姿を見て以来、競馬に情熱を注いできた。イギリス、アメリカ、フランスの競馬を取材した後、2023年に香港へ移る。サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、レーシング・ポスト、PA Mediaなどでの執筆経験がある。

ジャック・ダウリングの記事をすべて見る

すべてのニュースをお手元に。

Idol Horseのニュースレターに登録