来月から始まる5日間のロイヤルアスコット開催。G1・クイーンエリザベス2世ジュビリーステークスに挑戦する日本のトップスプリンター、サトノレーヴの手綱を任されたジョアン・モレイラ騎手は、再びこの舞台で騎乗できることに胸を躍らせている。
ブラジル出身の名手が歴史あるロイヤルアスコットに初めて足を踏み入れたのは10年前。香港のジョン・ムーア厩舎に所属する一流マイラー、エイブルフレンドに騎乗してG1・クイーンアンステークスに挑戦したときのことだった。しかし、栗毛の巨漢馬は自慢の末脚が不発に終わり、期待を裏切る6着に沈んだ。
モレイラは今回の挑戦を楽観視している。世界屈指の注目度と難易度を誇るこのレースでも、堀厩舎のサトノレーヴは戦えると信じているからだ。
「アスコットでサトノレーヴに乗れることにワクワクしているのは間違いありません。良いものを持っている素晴らしい馬です」
Idol Horseの取材にそう答えたモレイラ。13戦8勝というサトノレーヴの安定した成績には信頼を寄せている。今年3月には、中京競馬場のG1・高松宮記念をこのコンビで制した。
しかし、日本競馬のスプリント路線は例年、世界のトップ級と比べるとやや劣るとされている。サトノレーヴの評価が高い理由は海外遠征先での好走が理由だ。『世界最強スプリンター』と評されるカーインライジングとの2回の対戦ではいずれも後塵を拝しているが、そのどちらも上位入着を果たしている。
昨年の12月、シャティン競馬場で行われたG1・香港スプリント(1200m)ではカーインライジングに迫って3着。今年4月、同じコース・距離で行われたG1・チェアマンズスプリントプライズでも、カーインライジングに次ぐ2着に入る健闘を見せた。
「日本国外でサトノレーヴに乗って重賞を勝ったことはありませんが、今回は最高のチャンスになるはずです。ここ最近の調子は抜群ですから、チャンスは充分あるはずです」
「香港での2着は遠征先でも高いパフォーマンスを発揮できることの証明です。きちんとケアされていれば、海外遠征も問題ありません」
現在、サトノレーヴはロイヤルアスコットに向けて、ニューマーケットのビーチハーストステーブルにあるジェームズ・ホートン厩舎に滞在している。堀厩舎のスタッフが日本から帯同しており、現地での世話も担当する。
「イギリスに到着してしばらく経ちますが、現地からの報告では順調に過ごしているとのことです」とモレイラは説明する。
「彼のことはよく理解していますし、アスコットではその能力を最大限に引き出してくれる馬のはずです」