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先月末に行われた日本の牡馬クラシック開幕戦、G1・皐月賞。ここでキャリア初の敗北を喫したエリキングだが、この敗戦も6月1日のG1・日本ダービーに向けた糧になると、中内田充正調教師は捉えている。

春のG1シーズン、中内田厩舎は絶え間なく精鋭たちを送り出し続ける。クイーンズウォーク、ロードデルレイもG1レースを見据える一方、クラシック路線の大将格を担うのがエリキングだ。オーナーの藤田晋氏、そして調教師自身にとっても、初のダービー制覇を目指す一戦となる。

中内田調教師は「エリキングはダービーを予定しています」と明言。ダービーへの意気込みを語ってくれた。

「皐月賞は少し物足りない着順でしたが、骨折での長い休養期間明けであったことを考えれば、走り自体は理解できる内容でした。速い流れを多頭数で経験できたこと、そして今年初の実戦だったことが、この馬を一段と成長させるはずです」

キズナ産駒のエリキングはオーストラリアG1馬のヤングスターを母に持つ良血馬だ。2歳時は無敗の3連勝、G3・京都2歳Sでは後に皐月賞で4着に入るジョバンニを負かしているが、骨折のため年末のG1を前に戦線離脱となった。

今年初戦の皐月賞では、1コーナー入り口での接触、最終コーナーでの進出遅れ、そして直線では前が窮屈になるなどの不運に泣き、11着という結果に終わった。

中内田は2400m戦のダービーを見据え、「それでも止まらず、最後まで頑張れたのは良かったですね」と振り返った。

一方、5月18日のヴィクトリアマイルに出走するのはサンデーレーシングのクイーンズウォーク。中内田厩舎を代表して、アスコリピチェーノ、ステレンボッシュ、ボンドガールといった一流牝馬に勝負を挑む。

昨年のクイーンズウォークはG1・桜花賞では8着、G1・オークスは4着に終わるも、秋始動戦のG2・ローズステークスを制覇。今季も始動戦のG2・金鯱賞(2000m・3月)を制し、好発進を決めている。

「ヴィクトリアマイルに出走します」と調教師。「マイル戦は久しぶりになりますが、その点は大丈夫だと思います。良い調子のまま臨めそうです」

Queen's Walk wins at Chukyo
QUEEN’S WALK, YUGA KAWADA / G2 Kansai Telecasting Corp. Sho Rose Stakes // Chukyo /// 2024 //// Photo by JRA

もう一頭のロードデルレイは5歳にして本格化した遅咲きの大器。4月6日のG1・大阪杯ではベラジオオペラに次ぐ2着に入った。ここまで10戦6勝、2着以内を外していない安定感も魅力だ。

来月、G1初制覇を目指して宝塚記念に挑戦する。

「来週中(インタビュー当時)に厩舎に帰ってきます。宝塚記念が目標です」

「大阪杯の後も引き続き好調を維持しています。3歳デビューなのもあってか、遅咲きタイプでここに来てやっと本格化を迎えたという印象です」

さらに先を見据えると、プログノーシスは例年通り、8月下旬のG2・札幌記念で復帰する青写真を描いている。2週間前の香港では、G1・クイーンエリザベス2世カップでタスティエーラの2着に健闘。調教師も納得の走りだった。

「よく頑張ってくれました。年齢は7歳を迎えましたが、香港では立派な走りを見せてくれました。ゲートは相変わらずですが、能力の高さを改めて証明するような走りだったと思います」

「短期放牧で一息入れた後、札幌記念を目指す形になるかと思います。そこでの走りを見て、オーナーの社台さんと相談しながら今後の予定を組み立てていきます」

デイヴィッド・モーガン、Idol Horseのチーフジャーナリスト。イギリス・ダラム州に生まれ、幼少期からスポーツ好きだったが、10歳の時に競馬に出会い夢中になった。香港ジョッキークラブで上級競馬記者、そして競馬編集者として9年間勤務した経験があり、香港と日本の競馬に関する豊富な知識を持っている。ドバイで働いた経験もある他、ロンドンのレースニュース社にも数年間在籍していた。これまで寄稿したメディアには、レーシングポスト、ANZブラッドストックニュース、インターナショナルサラブレッド、TDN(サラブレッド・デイリー・ニュース)、アジアン・レーシング・レポートなどが含まれる。

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