鞍上のザック・パートン騎手は、日曜日のG1・チェアマンズスプリントプライズが『一強』のレースではないと話す。しかし、オッズを元に語るとすれば、カーインライジングにとって最大のライバルは『レコードタイム』に他ならないだろう。
もし、大方の予想通り、カーインライジングが日曜日に12連勝を達成したとなれば、観客の視線はすぐさま内馬場に設けられたロンジン製の大型時計に移ることだろう。焦点は、今回の勝ち時計がレコードタイムを上回ったかどうかだ。
昨年11月、カーインライジングはG2・ジョッキークラブスプリントで1:07.43のタイムを叩き出し、シャティン競馬場の1200mのコースレコードを塗り替えた。セイクリッドキングダムが前回の記録を出したときから、実に17年ぶりのことだった。
その後、G1・センテナリースプリントカップでもレコードを更新。記録を1:07.20に縮めた。
先週日曜日のシャティン開催では全体的に時計が速く、クラス別のレコードタイムもいくつか更新された。カーインライジングが自身の記録を破るための環境は整っていると言えるだろう。
はたして、日曜日はさらなる新記録の瞬間を目撃できるのか?その問いに対し、ザック・パートン騎手はこのように答える。
「自身のトラックレコードよりもさらに速いタイムを求めるっていうのは期待しすぎではないでしょうか。いつか1分7秒の壁を破れるのかと聞かれたら、『可能性はある』とは言えます。これが限界ではない可能性もありますからね」
“ゲートが開いた瞬間” から計測する伝統的な計測方法の場合、1200メートルの世界レコードは1:06.18である。ニュージーランドのトレンサム競馬場(ドッグレッグ型のオーバルコースで下り坂になっている)にて、G1馬のレヴァンテが記録したタイムだ。
一部の国では、ゲートが開いた瞬間から計測を開始するまでの助走区間が設けられている。
パートンはタイムよりも馬をどれだけスムーズに走れるかに重点を置いていると語った。
「自分がやるべきことをやれば、馬もちゃんと応えてくれます。走りの良し悪しが乗っていて伝わってくるタイプの馬です。スピードに乗って楽に追走できるようであれば、あとはもう余計なことをするつもりはありません」
往年の香港を盛り上げた、パートン騎手とモレイラ騎手のライバル対決が再び見られるのも、このレースの注目要素だ。モレイラは日本馬のサトノレーヴに騎乗予定。絶対王者として君臨するカーインライジング相手でも、番狂わせへの自信を伺わせるコメントを残している。
カーインライジングはここ最近の5連勝のうち、4勝を単勝オッズ1.1倍以下で挙げている。初めて1400mへの距離延長に挑んだG1・クイーンズシルバージュビリーカップでは1.2倍、G2・プレミアボウルでは1.3倍のオッズだった。
一方、サトノレーヴは12月の香港スプリントでは勝ち馬のカーインライジングと0.75秒差の3着に敗れたが、前走のG1・高松宮記念では鮮やかな勝利を収めている。
「競馬ですからね、最初から負ける気ではやっていけませんので。ある程度の自信を持って臨まなければ、レースに出る意味がありません」とパートンはコメント。そして、モレイラについては以下のように語った。
「彼が戻ってきてくれたのは嬉しいですね。今はブラジルを拠点にしているのであまりレースを観る機会はありませんが、ここ数週間は日本で大活躍だと聞いています。今回も有力馬に騎乗しますから注目ですね」