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今年のメルボルンカップに、イギリスのチャールズ国王の所有馬が2頭参戦する可能性が出てきた。

ウィリアム・ハガス厩舎に所属するイギリス調教馬、デザートヒーローはオーストラリア遠征初戦で不本意な凡走に終わったが、その後現地のキアロン・マー厩舎に転厩することが分かった。

ハガス厩舎時代のデザートヒーローは長らく、『メルボルンカップの有力馬』として注目を集めてきた。当時3歳だった2023年、ロイヤルアスコット開催のキングジョージ5世Sとグッドウッド競馬場のG3・ゴードンSを連続で制し、オーストラリアのメルボルンカップへの遠征プランが浮上。

しかし、G1・セントレジャーでコンティニュアスの3着に入った後、続戦せずに休養入り。遠征は幻に終わった。

その後、古馬に入ってからは4レースを走っているが、いずれも結果は出ていない。サンダウン競馬場の2000m戦、G3・ゴードンリチャーズSでのオキーチョビーの2着がこれまでの最高成績。先週、ランドウィック競馬場のG2・チェアマンズハンデキャップ(2600m)に出走した際は、勝ち馬のアラルカンスから遠く離れた16着に敗れている。

ハガス厩舎のチームは取材に対し、デザートヒーローがシドニーの秋開催が終わった後もオーストラリアに留まり続けることを明言。

「レース後も馬自身は元気です。意外な話ですが、レース後も消耗は少なかったようです」と、ハガス厩舎の遠征アシスタントを務めるイッシー・ポール氏はIdol Horseに明かしてくれた。

「正直、消耗は激しいだろうなと思っていました。前走は展開が向かなかったです。ペースがスローすぎてこの馬には向かなかったですね。ライアン(ムーア騎手)もレース後、『もっと前に主張して行けば良かった』と悔やんでいました」

「もう少し時間をかけて順応していけば、オーストラリア競馬にも対応できると思います。トップクラスのステイヤーですから、良い競馬をできると願っています。馬体は細身ですが、毛艶は素晴らしく、滞在先での生活も気に入っているようです。今後の活躍を祈っています」

Tom Marquand celebrating Desert Hero's Royal Ascot win
DESERT HERO, TOM MARQUAND / King George V Stakes // Royal Ascot /// 2023 / Photo by Ascot Racecourse

Idol Horseの取材によると、デザートヒーローはカンタベリーの検疫施設を離れ、クイーンズランド州の放牧先に移動する予定だ。放牧先の牧場には、最近マー厩舎へと移籍したG1・ニュージーランドダービー馬のウィリードゥイット、G1・ジョージライダーS勝ち馬のグリンゴッツも入厩している。

英国王室の所有馬がキアロン・マー厩舎に移籍するのは2例目になる。先例のギルデッドウォーターはキャリアが浅くまだ3戦2勝だが、秋競馬の長距離路線で注目を集めるアラルカンスを昨年末に撃破しており、レーティングは低いながらも高い期待を集めている一頭だ。

デザートヒーローかギルデッドウォーターのいずれかがメルボルンカップへと駒を進めれば、チャールズ国王は英国王、そしてイギリス連邦を通じてのオーストラリア国王として、史上2人目のメルボルンカップ出走馬主となる。

1人目は先代の君主であるエリザベス女王。1997年、マイトアンドパワーの6着に入ったアラビアンストーリーをメルボルンカップに送り込んでいた。

また、2頭の出走が実現すれば、英国王室の勝負服のセカンドカラーもオーストラリア国内での初お披露目となる。通常の勝負服では黒色の帽子が用いられるが、多頭出しの場合、2頭目の帽子はクリムゾンレッドに変更される。

アンドリュー・ホーキンス、Idol Horseの国際担当。世界の競馬に対して深い情熱を持っており、5年間拠点としていた香港を含め、世界中各地で取材を行っている。これまで寄稿したメディアには、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ANZブラッドストックニュース、スカイ・レーシング・オーストラリア、ワールド・ホース・レーシングが含まれ、香港ジョッキークラブやヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)とも協力して仕事を行ってきた。

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