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2025 大阪杯: G1レビュー

競馬場: 阪神競馬場

距離: 2000m 

賞金総額: 6億5100万0000円(447万3197米ドル)

ドバイで多くの有力馬が出走していた一方、日本国内の阪神競馬場で行われたG1・大阪杯(芝2000m)にも、質の高い馬たちが顔を揃えた。そして、その中で主役を勝ち取ったのがベラジオオペラ。史上初となる大阪杯連覇の偉業を達成した。

過去に大阪杯を2度制したのはサンライズペガサスだけだったが、それも2002年と2005年という隔年での勝利であり、当時はまだG2格付けのレースであった(G1昇格は2017年)。

上村洋行調教師が管理するベラジオオペラの勝利は、ロードカナロア産駒によるワンツーフィニッシュを演出。2着にはロードデルレイが豪快な末脚で飛び込んだ。

レース展開

単勝5.1倍の2番人気で発走を迎えたベラジオオペラは、横山和生騎手を背に好スタートを決め、すぐに先団へと取りついた。外からは1番人気(4.8倍)のシックスペンスが勢いよく飛び出し、主導権を握るかに見えたが、内からホウオウビスケッツが抵抗して先頭争いを演じた。

逃げが予想されていたデシエルトはスタートでよれて最後方からの競馬となったが、池添謙一騎手は控えるのではなく外から進出を開始。1コーナー手前でハナを奪う積極策に出た。

デシエルトは1000m通過を57秒5というハイペースで引っ張る展開になった。シックスペンスとベラジオオペラは後続集団で絶好のポジションを確保し、大逃げを打つデシエルトを無理に追いかけることなく、仕掛けどころをうかがう余裕を見せた。

直線に入ってもデシエルトは先頭をキープしていたが、ホウオウビスケッツが外から迫り、さらにシックスペンスが大外から進出。しかし、その進路が開けた瞬間に抜群の反応を見せたのがベラジオオペラだった。堂々と抜け出し、最後は1馬身差をつけて大阪杯連覇を成し遂げた。

2着にはG2・日経新春杯勝ち馬のロードデルレイ、3着には同じくG2・京都記念を制したヨーホーレイクが入線。シックスペンスは失速して7着、デシエルトは14着と大きく沈んだ。

デシエルトの前半の速いラップに助けられた形で、ベラジオオペラの勝ちタイム1分56秒2は、昨年の自身の勝ち時計を2秒も上回るもの。さらに、これまでのレースレコードを1秒以上更新する快挙でもあった。

勝ち馬・ベラジオオペラ

昨年の大阪杯でローシャムパークにクビ差で勝利して以降のベラジオオペラだが、それ以来の出走はわずか3戦のみ。

G1・宝塚記念(芝2200m)では不良馬場のなかブローザホーンとソールオリエンスに続く3着、G1・天皇賞・秋(芝2000m)ではドウデュースの6着、G1・有馬記念(芝2500m)ではレガレイラの4着と、いずれも相手の強い一戦だった。

また、この勝利により、上村洋行調教師はG1・3勝目をマークした。うち2勝がベラジオオペラによるもので、もう1勝は昨年12月のG1・阪神ジュベナイルフィリーズにおけるアルマヴェローチェの勝利である。

横山和生騎手にとってはこれが国際G1・5勝目となった。2022年にはタイトルホルダーで天皇賞・春と宝塚記念を制し、さらに今週ラストランを走ったウシュバテソーロで東京大賞典を制した実績がある。

Jockey Kazuo Yokoyama after winning the Osaka Hai
KAZUO YOKOYAMA (R) / G1 Osaka Hai // Hanshin /// 2025 //// Photo by @kei__03k (X)

上位入着馬たち

ロードデルレイは昨年末、デシエルトに2度続けて敗れていたが、今回はその雪辱を見事に果たした。前走ではG2・日経新春杯(芝2200m)を制しており、さらなる距離延長がプラスに働く可能性もありそうだ。

ヨーホーレイクも前走でG2・京都記念(芝2200m)を勝利しており、その際にはソールオリエンス、プラダリア、チェルヴィニアといった実力馬たちを下している。

これまでに度重なる故障による離脱を余儀なくされてきたが、2020年には2歳G1・ホープフルステークス(芝2000m)で3着に入った実績を持ち、同世代のトップクラスと互角に渡り合ってきた。このレースでもゴール前で鋭く伸びる見どころある走りを見せた。

敗れた人気馬たち

シックスペンスは直線入り口で勝ち馬に迫る場面もあったが、最後は失速した。これにより、2000mという距離のタフな流れでは力を出しきれないのでは、という見方がさらに強まることになりそうだ。次走では、1600mのG1・安田記念のような距離短縮が好転材料になるかもしれない。

昨年のG1・桜花賞(芝1600m)を制したステレンボッシュは、G1・香港ヴァーズ(芝2400m)で3着に入って以来の実戦だったが、精彩を欠いた。外々を回る形となった上に、直線でも伸びを欠き、13着に沈んでいる。

父・ロードカナロアの復権

長年にわたり安定して一流馬を輩出してきたロードカナロアだが、近年は大レースにおける種牡馬としての存在感がやや薄れつつあった。

アーモンドアイ、パンサラッサ、さらには海外で活躍したタガロアなどを輩出してきたものの、2024年のG1勝ち馬はベラジオオペラただ一頭にとどまっていた。

しかし、2025年に入り、その状況は一変した。これまでに行われたG1は3レースだが、いずれもロードカナロア産駒が制している。すなわち、コスタノヴァがフェブラリーステークス、サトノレーヴが高松宮記念、そしてベラジオオペラが大阪杯を制覇しているのだ。

来週に予定されているG1・桜花賞は3歳牝馬限定戦のため、ロードカナロア産駒の牡馬に出番が回ってくることはないが、成長著しいチェルビアットや、G2勝ち馬のランフォーヴァウ、G3勝ち馬のダンツエランといった有力牝馬が名を連ねており、注目が集まっている。

レース後コメント

横山和生騎手(ベラジオオペラ、1着):
「相変わらずのスタートの上手さのおかげで、ほしいポジションを取れて、第4コーナーで手応えが良かったので、『負けないだろうな』とはその時点で思っていました。本当に今日は強い競馬を見せてくれたかなと思います。」

「流れ的には十分読めていた流れでしたし、取りたいポジションを確保できたので、リズム良く走れたことが一番の勝因だと思います」

「去年の大阪杯でこの馬とG1を勝たせてもらいましたが、その後しっかりとした結果を出せなかったので、一からのスタートでやり直すという意気込みで今日臨みました。それに良い結果で応えてくれて、馬に感謝の気持ちでいっぱいです。まだまだ良くなる余地を残している馬だと思うので、これから先も順調に行ってくれればと思います」

西村淳也騎手(ロードデルレイ、2着):
「素晴らしい状態でした。1, 2コーナーの不利が痛かったですね。そこで位置取りを一つ下げてしまったので、それ悔やまれます」

横山武史騎手(シックスペンス、7着):
「4コーナーまでは良い競馬をできていたのですが、G1のきつい流れでガソリンが切れてしまったのかもしれません」

池添謙一騎手(デシエルト、14着):
「すみませんでした。ゲートが開く直前にガタついて出遅れてしまいました。向正面で手前を替えた時にハミを取ってしまって、馬の力が上へ逃げる形でロデオ状態になってしまいました。手綱を引っ張ると、却って危ないと思って…。59秒ぐらいで入りたかったんです。応援してくれたファンに申し訳ありません」

今後は?

次走は、阪神で再び行われる宝塚記念がベラジオオペラの有力な選択肢となりそうだ。ロードデルレイやヨーホーレイクといった馬たちが、同じ舞台に挑むのか、それとも条件を落としたレースを選ぶのかは今後の動向に注目したい。

レースリプレイ: 2025 大阪杯

アンドリュー・ホーキンス、Idol Horseの国際担当。世界の競馬に対して深い情熱を持っており、5年間拠点としていた香港を含め、世界中各地で取材を行っている。これまで寄稿したメディアには、サウス・チャイナ・モーニング・ポスト、ANZブラッドストックニュース、スカイ・レーシング・オーストラリア、ワールド・ホース・レーシングが含まれ、香港ジョッキークラブやヴィクトリアレーシングクラブ(VRC)とも協力して仕事を行ってきた。

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