2024年 コーフィールドカップ: G1レースプレビュー
開催地: コーフィールド競馬場
距離: 2400m
賞金総額: 500万豪ドル(約340万米ドル)
世界ランキング(2023年): 該当なし
10年前であれば、世界最高賞金を誇る2400メートルのハンデキャップレースであるコーフィールドカップが、オーストラリアの10月中旬のレースカレンダーで最大のレースではないということは考えられないことだった。ゴールデンスリッパー、コックスプレート、メルボルンカップと並ぶ、紛れもない『ビッグ4』の一角だった。
しかし、2024年現在、その評価はシドニーのジ・エベレストやキングチャールズ3世ステークスに次ぐものとなりつつある。これは驚くべき変化だ。
今年のコーフィールドカップは、トップハンデが55キロで斤量差は5キロなど、歴史的に見るとやや地味な顔ぶれと言われている。しかし、外枠からの速い馬たちが揃い、スリリングな展開が期待できる。しかも、世界的に見ても今年最も予測が難しく、馬券購入の価値がある一戦となりそうだ。
さらに、世界的な国際レースに相応しい出走馬が揃い、海外のG1ジョッキーたちがコーフィールドで初めて騎乗する姿も見どころだ。
レース展望
コーフィールドカップは、スタートしてすぐに1コーナーがあり、レース展開が分かりづらいことが多い。今年も外枠から速い馬たちが押し寄せる構図が予想され、ディナイノウレッジやエリヤスが序盤から先頭を奪う展開が見込まれる。
ココサンも前に行く力があり、ウォーモンガーも内のデュークデセッサやサイエダティサダティにプレッシャーをかける可能性が高い。
人気馬のバッカルー、ランドレジェンド、そしてザルドージは中団の好位置を狙うだろう。一方、日本馬ワープスピードに騎乗する菅原明良は、好位置を取るのが難しい展開になりそうだ。
注目のジョッキーたち
今年のコーフィールドカップでは、カリス・ティータンと菅原明良の2人のジョッキーが初めてコーフィールド競馬場(そしてメルボルン)で騎乗する。
ティータンはこれまでシドニーでの騎乗経験があり、T & C.マカヴォイ厩舎のココサンに騎乗するためヴィクトリア州へ向かう予定だ。香港を拠点に10年以上活動しているモーリシャス出身のティータンにとって、これは同州での初騎乗となる。
さらに、続くレースで行われるG3・ムーンガステークス(1400m)ではエアアサルトにも騎乗する予定だ。外から2番目の枠からのスタートとなるティータンは、デニーナレッジを追って先行するため、1コーナーへ向けて前に出る必要がありそうだ。
一方、菅原明良にとっては、日本国外での初騎乗となる今回のワープスピードとのコンビは、23歳の彼にとって記念すべき機会となる。彼はこれまでに日本のG1宝塚記念(2200m)でブローザホーンに騎乗して勝利を収め、21世紀生まれのジョッキーとして初めてG1を制した。今回のコーフィールドカップでは不利な枠順からのスタートだが、メルボルンカップを見据えつつ、しっかりと馬をゴールに導くことが期待されている。

プレッシャーを背負う立場
注目はマイケル・ディーだ。2年前にダーストンでの見事な騎乗でコーフィールドカップを制し、今年は早くからウォーモンガーへの騎乗を決めている。
軽量騎手である彼はどの馬でも選べる立場だったが、早期にウォーモンガーを選んだことが正しかったと証明するためには、ダーストンの時以上の度胸と戦術的センスが求められる。
5月のG1・サウスオーストラリアンダービー(2500m)で、ウォーモンガーは後方から一気に追い込み、ココサンに次ぐ2着。続くG1・クイーンズランドダービー(2400m)では、外枠から先行して10.4馬身差の圧勝を飾った。
この4歳馬は間違いなく本格派のステイヤーだ。ディーが序盤で後方につけた場合、メルボルンカップに向けて好調をアピールする『鮮烈』な走りを見せる可能性が高い。
しかし、もしディーがスタートから積極的にレースを進めることができれば、コーフィールドカップで2度目の栄冠を手にするチャンスも十分にある。

注目のデータ
ちょっとした面白いデータとして、ザルドージは「Z」で始まる名前を持つ馬として、コーフィールドカップ史上初の優勝を目指している。
また、今年のコーフィールドカップで無傷な成績を持つ唯一の調教師はシェイラ・ラクソンだ。彼女は2001年にエセリアルで勝利して以来の出走となり、今年はジョン・シモンズと共同でナイツチョイスを送り込む。
有力馬コメント
ワープスピードの陣営をサポートする川上鉱介氏: 「ワープスピードは本当に素晴らしいステイヤーです。末脚はそれほど鋭くないかもしれませんが、持久力が抜群です。調教後、駈歩や常歩に移っても息切れせず、すぐに回復することに驚いています。心肺機能が驚くほど優れていて、一日中乗れると思います」(デイヴィッド・モーガン記者の記事より)
ウォーモンガーのマイケル・ケントJr.調教師: 「体調面の調整は思い通りに進んでいるが、今朝(火曜日)は気分転換のためのメンタル面のトレーニングだった。馬は非常に元気で脚さばきも良く本当に良かった。クイーンズランドダービーの時と同様に状態は非常に良い」
「ターンブルステークスでは、あの2000mの強豪馬たちに対して、斤量条件ではスピードを発揮できないと思っていたが、彼は真のステイヤーでクイーンズランドダービーで見せた持久力が再び発揮された。今回の目標は一貫してコーフィールドカップだった。距離は2400mに伸び、ハンデ戦で斤量も軽くなるし、ペースも速くなるだろう。だから、持久力勝負になり少しでも雨が降るようなら、ウォーモンガーに有利だと思う」
参考レース
まとめ
今年のコーフィールドカップは非常に混戦模様であり、穴狙いの馬券に挑戦する価値がある一戦だ。特にワールドプールによる全世界発売が実現しており、オッズも魅力的なものになるだろう。
ザルドージはG1・ザメトロポリタンで見せた走りが素晴らしく、勝ち馬ランドレジェンドに匹敵する内容だった。今回は斤量面で彼女が有利であり、枠順的にも中間枠からのスタートがアンドレア・アッゼニにとって有利になるだろう。
ザック・パートンが騎乗するランドレジェンドは内枠からの発走となるが、ザルドージの方が選択肢が広がる。ザルドージが4歳でコーフィールドカップを制すれば、ジャメカ以来2頭目のVRCオークス馬のコーフィールドカップ勝利となる。
バッカルーは絶好調で、現在の調子から見ると最有力候補だ。しかし2400mの距離が懸念材料であり、今年のタンクレッドSではこの距離が得意ではないように見えた。しかし、今の彼はまったく別の馬であり、勝ち馬に相応しい存在だ。
それ以外で注目するなら、穴馬を狙いたい。ムラマサは前走から9kg減の軽斤量で出走し、昨年のクイーンエリザベスSでの勝利を再現できれば有力だろう。ヤングワーザーはターンブルSで2400mが必要とされる走りを見せたが、それでも評価できる内容だった。デュークデセッサも同様だ。
繰り上がりで出走できれば、バークシャーブリーズやフランチェスコグアルディも入着の可能性がある。
ディナイノウレッジは先週のG1・マイトアンドパワーステークス(2000m)で勝利、今回は斤量が大きく有利になるものの、予想されるペース展開が彼女にとって厳しい状況になりそうだ。