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エコロジーク
1着(8頭立て) 2歳 OP
1200m (芝), 中山競馬場
土曜日 9月21日
ブリーダーズカップを目指すスピードスターが、20年以上破られていなかった記録を遂に更新した。エコロジークの走りはまさに驚異的なパフォーマンスだったが、これすらもこの先の目標に向けての通過点に過ぎないのかもしれない。
2歳OP・カンナステークスで記録した1:07.02という数字は、23年前の2歳コースレコードを更新するだけでなく、JRAの歴史上でも最速となる2歳戦の1200m勝ち時計となった。
スタートはライバルより少し出遅れたが、デビュー戦に続いて騎乗したクリストフ・ルメール騎手が促すと、素早い加速で先頭へ。前走G3で4着に入ったレイピアとの2頭で大きく突き放す展開となったが、直線に入っても失速するどころか、むしろ突き放す展開。2馬身半の差をつけ、華麗な逃げ切り勝ちで2戦2勝とした。
— Team Iwata (@JayRAye02) September 21, 2024
エコロジークはTwirling Candyを父に持つ、アメリカ産馬。2024年のOBSマーチセールで、今の調教師である森秀行氏に25万ドルで落札された。トレーニングセールでの走りも軽快なものがあり、9.4秒は1ハロンを走った馬の中では2番目タイの記録だった。
デビュー戦は8月17日の新潟競馬場。スピードの違いで先頭に立つと、そのまま突き放して5馬身差で逃げ切るというレースだった。勝ちタイムの1:08.09は2歳コースレコードに僅か0.2秒差、内容も時計も優秀な新馬戦だった。
そこから1ヶ月後、2戦目でも1:07.02という素晴らしい時計を叩き出した。2001年にサーガノヴェルが記録した2歳コースレコードを0.6秒、2020年にフリードが記録した2歳の日本レコードを0.3秒更新する勝ち時計。同日に行われた4歳馬が勝った条件戦でも同じタイムが出ており、2歳馬ながら古馬に匹敵する時計を叩き出したとも言える。
サーガノヴェルがレコードを叩き出したレースは2001年12月のG3・フェアリーステークスだったが、彼女は年明けの3月にG3・クリスタルカップも制覇。3歳でG1・スプリンターズステークスに挑むなど、快速牝馬として知られていた。
ルメール騎手はレース後のインタビューで、「良いスピードでした。オーバーペースではなく、自分のペースで走ることができました。能力はあると思います」と素質の高さとレースセンスを評価するコメントを残した。
次なる目標は、アメリカのブリーダーズカップだ。1日目に行われる芝1000mのG1、ブリーダーズカップジュヴェナイルターフスプリントへの出走を目指しており、順調に行けば母国凱旋となる。
森秀行調教師が「スタートは遅いけど加速力がある」と評したように、彼の蹴り出しは目を見張るものがある。同じく森厩舎のジャスパークローネもダッシュが早いスプリンターだが、エコロジークもいずれは似たようなタイプになるのかもしれない。
シーキングザパールで日本馬として初めて欧州G1を制し、フジヤマケンザンで香港での日本馬初勝利。海外遠征のパイオニアとして華々しい実績を持つ森調教師だが、65歳を迎えて定年まで残り数年となっている。キャリアの晩年に、この馬で大輪の花を咲かせるのかもしれない。
将来の展望: 気は早いが、この世代のスプリンターならこの馬が一番だと言える